第96話
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麻生の拳と男の拳がぶつかり合う。
ビリビリビリ、と空気が震える。
互いに拮抗していたが、麻生が押し負けてしまい部屋の外まで吹き飛ばされる。
男と何度も拳をぶつけているので部屋はほぼ崩壊しており、天井も衝撃波で吹き飛んで太陽の光が入り込んでいる。
麻生は能力で身体の傷と拳の骨のひびを治しながら、ゆっくりと立ち上がる。
(くそ、ついて行くだけで精一杯だなんてな。)
内心、舌打ちをしながら視線を上げる。
その先にはさっきの嬉しそうな表情はどこへ行ったのか、少し退屈そうな顔をしながら麻生を見下ろしていた。
「よもや、それが限界とは言うまいな?
だったら失望したぞ、星の守護者。」
「生憎、まだ準備運動だ。」
麻生のこの発言は嘘だ。
さっきも麻生が感じたとおり、ついて行くだけで精一杯な状況だ。
麻生の嘘を見破っているのか、依然と表情を変えずに男は言う。
「なら、もう少し速度を上げよう。」
瞬間、男の姿が消える。
周囲に探知結界を広げ、自身の直感を使い後ろから迫ってくる拳を紙一重でかわす。
そのままカウンターの要領で、右足で回し蹴りを男の顔面に向かって繰り出す。
男はそれを片手で受け止めると、こちらもカウンター返しの要領で空いている左手で麻生の背中の殴りつける。
ミシミシ、と骨が軋む音が聞こえ、やがてゴキ!と骨が折れる音が響く。
「うん?」
男の手の感覚に違和感を感じ、首を傾げる。
確かに骨を折った手応えは感じたのだが、何かおかしいと感じたのだ。
男は数えきれないくらい、その拳で人を殺めている。
なので、骨を折った感触など嫌でも分かってしまう。
すると、麻生の身体が徐々に溶け始める。
それを見て男はようやく気付いた。
(変わり身!?)
それと同時に後ろから巨大な魔力を感じた。
麻生の変わり身をそこら辺に投げ捨て、後ろを振り向く。
後方、二〇メートル後ろでは麻生が赤い槍を片手に持ち、男に向かって投げのモーションに入っている所だ。
その槍は螺旋のように絡み合い、先端部分は二つに分かれてた真っ赤な槍だ。
麻生はその真名を解放する。
「神殺しの槍!!」
その言葉に呼応するように真っ赤に輝くと、男に向かって投げつける。
あの身代わりはこの槍を創り、真名解放する為の時間を稼ぐための囮だったのだ。
神殺しの槍は真っ直ぐ、男に向かって飛んでいく。
それを見た男は何故か笑みを浮かべた。
右手を腰の位置まで移動させ、手を開く。
すると、空間が歪み、そこから刀の柄が出てくる。
それを素早く取り出し、神殺しの槍に向かって一閃する。
神殺しの槍は男の身体に触れる事なく真っ二つに切断される。
中に凝縮
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