第96話
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なにこれ・・・今までに感じた事のない。)
AIMジャマーを受けた時とはまた違った頭痛だ。
どちらかと言えば、こちらの方がたちが悪い。
三匹の化け物が滝壺にあと数歩という所まで近づいた時だった。
「どう・・・ほう・・・」
「えっ?」
滝壺は最初何を言っているのか分からなかった。
怪物がかぎ爪を振り上げる。
滝壺は怪物が言った言葉を理解しようとする考えを捨て、咄嗟に眼を閉じる。
その時だった。
「そこまでだ。」
声は滝壺の前から聞こえた。
ゆっくりと目を開けるとそこには猫が一匹座っていた。
初めはいなかったのにいつの間にかそこにいた。
三匹の怪物はその猫を見るや否や、じりじりと後ろに下がっていく。
「哀れな生きる死者よ。
その魂を解き放つのは星の守護者の役目だが、仕方がない。
代理として私が解き放とう。」
その言葉と同時に猫の身体が蒼く輝きだす。
怪物はその光が苦手なのか、かぎ爪で自分の顔を隠す。
蒼い光が大きく輝き、滝壺はあまりの光量に眼を閉じる。
次に眼を開けると怪物はどこかへ消え去っていた。
「さて、君は此処から動かない事だ。
さっきのようなモノ共がうろついている可能性がある。」
猫は振り返りつつそう言った。
そして滝壺の顔を見ると、少し眉をひそめる。
「お前は・・・・・そうか、そういう事か。
全ては運命か、それとも・・・・」
猫が一人で何かを呟く。
そして、滝壺に背を向けるとスラム街の入り口に近づいていく。
「さっきも言った通り、そこを動かない事だ。
それと、お前に一つ言っておこう。
人である事を忘れるな。
忘れればお前は人でなくなる。」
そう言い残して、猫はスラム街に入って行った。
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