夢の続き
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避けた。
「お前は物質の造形が得意だった『静』のアイスメイク。俺の造形は生物・・・『動』のアイスメイク。動き回る氷だと忘れたか」
「ぐはぁっ!」
盾を避けた鷲が容赦なくグレイを襲う。
それから逃れる様にグレイは飛び出し地面を転がり、右の拳を左掌にのせた。
「アイスメイク、大槌兵!」
造形された氷のハンマーがリオンの頭上に現れる。
だがリオンはそれに驚く事もせず、左手の人差し指と中指を揃えて空に向けた。
「アイスメイク、大猿」
すると巨大な氷の猿が現れ、ハンマーを止めた。
猿の手首辺りに当たったハンマーはパキィンと崩れる。
「話にならん。造形魔法に両手を使うのも相変わらずだ」
(あ、そっか・・・さっきから感じる違和感は、リオンが片手で造形してる事か・・・)
「ウルの教えだろ。片手の造形は不完全でバランスもよくねぇ」
「俺は特別なんだ。ウルの力もとうの昔に超えてしまった」
「うぬぼれんなよ・・・」
「その言葉、お前に返そう。1度でも俺に攻撃を当てた事があったかな」
確かにそうなのだ。
先ほどからリオンの攻撃はグレイに当たる。だが反対にグレイの攻撃はリオンに当たらない。
「あの頃と一緒にするんじゃねぇ!」
ばすっとグレイは造形魔法の構えを取る。
そして両掌を地につけた。
「氷欠泉!」
地面を突き破り、氷が空高く昇っていく。
「・・・一緒だ」
辺りを舞う煙の中からリオンの声がした。
「俺はお前の兄弟子であり、お前より強かった。俺は片手で造形魔法を使えたが、お前は出来なかった」
煙が晴れ、無傷のリオンが姿を現す。
「何も変わらん。互いの道は違えど、俺達の時間はあの頃のまま凍りついている」
ばおぉぉっと一気に煙が晴れる。
「ぐああああっ!」
油断していたグレイの足元から氷で出来たドラゴンが現れる。
「だから俺は氷を溶かす。塞がれた道を歩き出す為に」
どん、と音を立ててグレイの身体が地に落ちた。
「ウルは俺の目標だった。ウルを超える事が俺の夢だったんだ」
(何か語り出した・・・)
ルーはひょこっと顔を完全に出し、2人を見つめる。
「しかしその夢をお前に奪われた。もう2度ウルを超える事は出来ないと思っていた・・・だが、1つだけ方法があった」
「・・・」
(まさか、それが・・・)
グレイが起き上がる。
「ウルでさえ倒す事が出来なかった、あのデリオラを倒す事が出来たら・・・俺はウルを超えられる。夢の続きを見られるんだよ」
そう言うリオンの顔は、先ほどまでとあまり変わっていない。
だがその顔を見たルーは、何故だか寒気を感じた。
「正気か・・
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