暁 〜小説投稿サイト〜
〜白と碧の翡翠〜
第1話
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、私は何も言わず、ただ聞いていた。
ログアウトボタンが消え、脱出できなくなった。
そして、外部からナーヴギアを外そうとすると、生命活動が終わる。
つまり・・・“死”

機械に詳しくない私には、その後の説明も分からなかった。

幾つかの条件に引っかかるか、
HPが0になった時、蘇生手段も無く、死ぬのだと。
現実世界で。

それだけは分かった。だけど、本当にナーヴギアで私は殺されるのか、そんな事が出来るのか。
分からなかったけど。

お兄ちゃんなら、分かるのだろうか・・・。

ゲームをクリアすれば、この世界から出れる。そう聞いて。

その後、私の容姿は、現実の体となった。
飴色の、少し癖のついた、腰あたりまでの髪、
翡翠色の目、
日本人めいているけれど、誰からも綺麗と言われるような顔立ち。

周りの人達が、綺麗なアバターから普通の人達に変わった中で、
私だけが、普通の人からアバターに変わった様だった。

私は、自分の姿を一瞥しただけで、貰った鏡をストレージに格納、
急いで周囲を見渡した。

この中に、お兄ちゃんの姿があるはずだから。
だけど、見つけられずに・・・

周りの人がパニックに陥り、騒ぎ、喚く中。
一歩間違えれば、私もその中に入ってしまいそうだった。

落着け。

祖母の教えにもあった。どんな時でも平常心を保て、と。

忘れない。生き残る為に昔の人が覚え、祖母まで継承させた葉桜流。
HPが0になったら死ぬのなら。
0にしなければ良い。HPが命なら、私の命。私が守る。

昔の、江戸の、城で働く女達。
命がけで戦った。薙刀を手に。
負ける訳には行かない。その人達に。

祖母が死ぬ少し前、私に葉桜流を継承する旨の文を貰った。

私こそ、葉桜流継承者。ナーヴギアなんて言う、ただの機械に殺される訳には。いかない。


―――絶対、ナーヴギアなんかに負けない。―――


あんな機械に殺されてあの世に逝ったら、祖母に地獄に叩き落されるだろう。

葉桜流は、仮想世界に埋もれて消えて良い流派では無い。

祖母から受け継いだ。その祖母は先代の継承者から。

絶やす訳にはいかない!

◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆

決意はしたけれど。やっぱり直ぐに行動は起こせなかった。
落ち着いて・・・周りを気にせず。息をする。

完全に心が落ち着くのに、10分を要した。

手に持ったままのナギナタをストレージに仕舞って、とりあえず宿屋に泊まった。

部屋にあったベットに腰かけ、5秒かけて息を吸い、5秒かけて吐く。
10回それを繰り返し、今までの事を思い出す。

とりあえず、今生きてるって事は、ナーヴギアを
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