暁 〜小説投稿サイト〜
〜白と碧の翡翠〜
第1話
[2/9]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話


「あなたは、0歳の頃、事故に遭ってね。
 その時に、両親と祖母が亡くなったのよ。
 他に親戚もいなくて、施設送りになるって言うから、私達が引き取ったの。
 偶々お兄ちゃんと同じ日に、18分遅れで生まれていたから、
 あなた達には“双子”と言っていたのよ・・・。」

私には、“家族”はいないって事なのか。
もう、私の“家族”は誰一人。
施設にいるのが正しい子供。
髪色も目も、今はいない親に似たのだろうか。

「お兄ちゃん達はどうなの? 
 お兄ちゃんもAB型だって言ってたよ?」

「あの子は・・・私の姉夫婦の息子なのよ。
 あの子が1歳の時に両親が事故で、あの子も両親を失って・・・
 次女だけが、私の産んだ子供よ・・・」

そうだったんだ・・・
お兄ちゃんも本当の両親はいないんだ・・・

だけど、親戚はいたんだね・・・

私だけなのかな。家族が誰もいないのは。

「・・・だけど、あなたもお兄ちゃんも、2人共、
 私の大事な子供よ。
 お父さんも、私も、おじいちゃんもおばあちゃんも、
 あなた達三兄妹も。皆、家族よ。」

「・・・じゃあ、家族の証って、何・・・?」

お母さんからの言葉に、反射的に聞き返した、その疑問。
姿も、血でもないのなら。
何が家族だって言えるのだろうか。

「それはね・・・家族だって言う“気持ち”よ。」

その返って来た答え。
“気持ち”があれば。家族だって言い張れるのか。

それなら、絶対負けない。

《絶対、“家族”になれる。》

その後、お母さんから、あなたの本当の両親達の詳しい事とか、
事故の事とか、知りたい?
と聞かれたけど、聞かなかった。

“気持ち”が家族の証なら、
死んでしまった親に、気持ちが無いから。家族の証も無い。

「お母さんは、私を家族だって思ってくれる?」

そう聞いた答えが、“もちろん”だったから。
血の繋がりは無くても、気持ちがあったから、
前の、血の繋がっただけの、親だった人の事なんて。どうでも良い。
そう思った。
だから、何も聞かなかった。
親の名前も、旧姓も、何もかも。

“今”があれば十分だったから

今の名前。 桐ヶ谷(きりがや)雪緑(せつか)
今の両親、 桐ヶ谷 翠と桐ヶ谷 峰嵩
今の兄妹、 桐ヶ谷 和人と桐ヶ谷 直葉

皆と“家族”でいられれば、それで良かったから。

◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆

それから八年位。
私もお兄ちゃんも、14歳になった。

あの日・・・私が家族との関係に気付いてから、
私は家族と仲良くしよう! と思い立ち、それを実行した。

だけど、私とお兄ちゃんが10歳の時
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ