第1話
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。
「あなたは、0歳の頃、事故に遭ってね。
その時に、両親と祖母が亡くなったのよ。
他に親戚もいなくて、施設送りになるって言うから、私達が引き取ったの。
偶々お兄ちゃんと同じ日に、18分遅れで生まれていたから、
あなた達には“双子”と言っていたのよ・・・。」
私には、“家族”はいないって事なのか。
もう、私の“家族”は誰一人。
施設にいるのが正しい子供。
髪色も目も、今はいない親に似たのだろうか。
「お兄ちゃん達はどうなの?
お兄ちゃんもAB型だって言ってたよ?」
「あの子は・・・私の姉夫婦の息子なのよ。
あの子が1歳の時に両親が事故で、あの子も両親を失って・・・
次女だけが、私の産んだ子供よ・・・」
そうだったんだ・・・
お兄ちゃんも本当の両親はいないんだ・・・
だけど、親戚はいたんだね・・・
私だけなのかな。家族が誰もいないのは。
「・・・だけど、あなたもお兄ちゃんも、2人共、
私の大事な子供よ。
お父さんも、私も、おじいちゃんもおばあちゃんも、
あなた達三兄妹も。皆、家族よ。」
「・・・じゃあ、家族の証って、何・・・?」
お母さんからの言葉に、反射的に聞き返した、その疑問。
姿も、血でもないのなら。
何が家族だって言えるのだろうか。
「それはね・・・家族だって言う“気持ち”よ。」
その返って来た答え。
“気持ち”があれば。家族だって言い張れるのか。
それなら、絶対負けない。
《絶対、“家族”になれる。》
その後、お母さんから、あなたの本当の両親達の詳しい事とか、
事故の事とか、知りたい?
と聞かれたけど、聞かなかった。
“気持ち”が家族の証なら、
死んでしまった親に、気持ちが無いから。家族の証も無い。
「お母さんは、私を家族だって思ってくれる?」
そう聞いた答えが、“もちろん”だったから。
血の繋がりは無くても、気持ちがあったから、
前の、血の繋がっただけの、親だった人の事なんて。どうでも良い。
そう思った。
だから、何も聞かなかった。
親の名前も、旧姓も、何もかも。
“今”があれば十分だったから
今の名前。 桐ヶ谷雪緑。
今の両親、 桐ヶ谷 翠と桐ヶ谷 峰嵩
今の兄妹、 桐ヶ谷 和人と桐ヶ谷 直葉
皆と“家族”でいられれば、それで良かったから。
◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆
それから八年位。
私もお兄ちゃんも、14歳になった。
あの日・・・私が家族との関係に気付いてから、
私は家族と仲良くしよう! と思い立ち、それを実行した。
だけど、私とお兄ちゃんが10歳の時
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