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ラインハルトに負けません番外編、女帝夫君エーリッヒ その1
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ヴァレンシュタイン元帥、皇女殿下がお待ちでございます」

黒真珠の間のに繋がる大廊下の途中にある控え室には、ルドルフ大帝以来500年近く皇后の頭を飾ってきたティアラを着け、数十人の職人が丹精込めて作成した豪華なウエディングドレスを纏う銀河帝国第三十六代皇帝フリードリヒ四世の第三皇女テレーゼ・フォン・ゴールデンバウムの姿が有る。

「エーリッヒ様、緊張なさっているのですか?」
「いや、そう言う訳では……」
「父上が、これぞと決め、妾も認めた夫君なのですから、もっとシャキッとして下さいね」

「はぁ……」
「それとも、妾との結婚は不本意なのでしょうか?」
「いえ、その様な事は……」

そうなのだ、俺ことエーリッヒ・ヴァレンシュタインは何故か、銀河帝国初の女性皇太子テレーゼ殿下の婿にされてしまったのだ。そして今日が結婚式だ……、何でこうなった!

両親の居ない俺の父親役には何と、ハインツ・ゲラー小父さんが招待されていた。小父さん夫妻はガチガチに緊張して居るんだよ。そりゃそうだ、花嫁の父親役が帝国宰相兼国務尚書リヒテンラーデ公だし、披露宴では皇帝の隣りに座る事が決まっているからだ。

支度が終わると同時に、テレーゼと共に、黒真珠の間へ案内されると、目前で重厚な扉が開かれると其処には、煌びやかな衣装に身を包んだ貴族、貴婦人、文官、武官が並んでいる。そして皆が、俺達を見ながら、拍手をし始めた。

皇帝の姿がないと思ったが、キョロキョロ見るわけにも行かないので、司会の宮内尚書ノイケルン子爵のアナウンス通りに、神父の前へ進むと、厳かに話し始めた。

“その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?”

途中で、何故かリヒテンラーデ公やグリンメルスハウゼン侯がニヤニヤし始めたと思って、よく見たらフリードリヒ四世が神父役をしているんだから驚いたのなんのって、“あんた、何やってんだ!”って思わず口に出そうになったよ。

まあそれはともかくフリードリヒ四世の神父はなかなかのものだったんだけれども、その後のテレーゼの悪ふざけが酷すぎた。指輪を嵌めてキスをする様に言われたので、指輪を嵌めて、テレーゼのベールを上げて、キスしたんだが、普通は新婦って目を瞑るのが普通なんだが、彼女は目を瞑らないでウルルルした目で俺を見つめてきたから、柄にもなくドキマキしてしまった。

それだけなら良いんだそう良いんだけど、テレーゼは、キスした後、眼を細めてニヤリとしながら、徐に小声で言いやがった“フフフフ、ご馳走様、さあ、これで逃がさないわよ、覚悟しなさいね”その言葉を聞いた瞬間、蜘蛛の巣に囚われた俺の姿が脳裏に浮か
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