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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第162話】
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内がざわめく。


「……俺が有坂ですよ?」


 そう返事をし、俺は目の前の女性を見上げた。

 年齢は凡そ二十歳前後、髪は金髪でセシリアともシャルとも少し違う鮮やかな金色をしていた。

 服装に至ってはブルーのサマースーツ――それも、カジュアルタイプのだ。

 顔はサングラスに隠されていてわからない――そう思っていると、サングラスを外し、開いた胸元の谷間にサングラスを預けて――。


「君がそうなんだ。 へぇ」

「……あ、その顔……」


 微かに香る柑橘系のコロンが鼻腔を擽る。

 香りに敏感な俺も、この香りは嫌いではないと思ってしまう程だった。

 それよりも、サングラスを外した事によって露になったその素顔に見覚えがあって、微かに呟くように俺は言った……。



「……【銀の福音】の操縦者……」

「そうよ。 名前はナターシャ・ファイルス。 よろしくね」


 そう告げた女性は笑顔で答えた――そして。


「貴方に少し話があるの。 良いかしら?」

「大丈夫ですよ? 内密な話ですか?」

「そうね。 ここじゃ人目も少し多いし……」


 言って、バス内を見渡すナターシャさん。

 興味があるのか全員が俺とナターシャさんの行動に注視していた。

 隣の一夏も、ぐったりしながらも俺の方を見ていて――。


「じゃあ外で話をしましょうか? 一夏、これやるから全部飲んで良いぞ? いい加減可哀想になってきたし」


 言ってスポーツドリンクを手渡すと、一夏は余程喉が乾いてたのか一気飲みしていた。


「じゃあ行きましょうか?」

「了解」


 言って座席から立ち上がると、俺はナターシャさんに続くようにバスを下車した。

 照り付ける夏の陽射しが容赦なく降り注ぐ。


「……暑いですね」

「夏だからね。 日陰で話しましょうか」


 夏の陽射しにキラキラと髪を輝かせ、風が吹き抜けるとその艶やかな髪が靡いた。

 少し日陰になった場所まで移動すると、幾分ましな気がした――と、ナターシャさんが口を開く。


「まずはお礼からね。 ありがとう、黒いナイトさん」

「え? ……お礼を言われる程の事はしてないですよ」

「ふふっ。 謙遜しなくていいわよ? ……【あの子】も、貴方にお礼を言ってた」

「……ナターシャさん、もしかして福音と――」


 言葉を遮るように、ナターシャさんが語り始める。


「貴方程じゃないけど、あの子の声は時折聞こえていたの。 福音と話をして止めてくれた、それだけで私は貴方には感謝してもしきれないぐらいなのよ?」


 腕を組み、蒼天を見上げるナターシャさん。
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