第15話 それは嵐の前の騒がしさ
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ート、トラベスタ)が手強かったという結論に成り、ウィッカム中将はお咎め無しとなった。
故に、ルフェール財界の重鎮たちにとってエリザ・ウィッカム中将は信頼できる指揮官ではなく、失っても痛くない人材だったのである。
* * *
――ウェスタディア王国 首都星ウェリン――
王宮ではルフェールからの提案について会議が設けられていた。
おそらく、今頃は共同体に参加している各国でも同様に会議が為されているだろう。
「先日、ルフェールがエルダテミア共和国への艦隊派遣を打診してきました」
「結構なことのように思えるが……君がわざわざ議題に上げるからには何らかの思惑があるのだろう?」
外務卿から報告を受け取った宰相のアルファーニがルフェールの提案を伝えると、先ず内務卿のブラマンテが思うところを述べた。
「はい、要するにルフェールの言いたいことは『エルダテミアの防衛はルフェールが受け持つからロアキアの援軍に赴いてくれ』ということです」
「冗談ではないぞ! オリアス軍とエルダテミア、銀河帝国にとってどちらの優先順位が高いかは一目瞭然だ。とどのつまり我々に矢面に立てということだろう!」
軍務卿のロンギが怒りを露わに発言する。
彼の怒りは至極当然で、この場に居る誰もが抱いた気持ちであった。
「してアルファーニ、君はどのように動くべきだと思うかね?」
「ボクはこの話を受けても良いのではないかと思います」
この言葉に一同は驚愕するが、それに構わずアルファーニは話を続ける。
「ルフェールの世論からすれば、ロアキアへの援軍は最初から不可能です。それなら、エルダテミアの防衛を担ってもらえる分こちらが楽になります」
アルファーニの説明に唸る一同。
「それに、ロムウェが落ちればイグディアスやオルデランは銀河帝国と直に国境を接してしまうことなります。このまま座して手を拱いているわけにはいきません」
「だが……ルフェールの提案を全て丸飲みにするわけにはいかんぞ」
「もちろんです。なので、ここはボクたちからも1つ条件を付けちゃいましょう」
アルファーニは悪戯に誘い込むような口調でそう言うと、続いてルフェールに提示する条件を口にした。
「……ふむ、それならば」
「だが、ルフェールが承諾したとして、それを本当に守るかね」
「それに関しては大丈夫でしょう。僕たちとの関係悪化は時間を稼ぎたいルフェールにとっては悪手です」
「……いずれにせよ、すべては連星会議にかけてからだな」
その言葉を最後に、会議は締め括られた。
* * *
宇宙暦808年/帝国暦499年 3月2日。
惑星ティオジアで行われた連星会議にて、ルフェール第七艦隊のエルダテ
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