第一物語・後半-日来独立編-
第五十一章 その場所へ想い走らせたならば《2》
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間を行きながら、着々とその距離を縮めていった。
もう背後からの戦場の音が小さくなっており、距離が離れていることを示していた。
戦闘艦にも長銃を構えた小数の者達がいたが、標準を合わせる暇も無くセーランは遠くに行ってしまった。
標準をなんとか合わそうにも、不規則な動きを取り入れているため狙いが付かず、やたらめったらと乱雑に射つしかなかった。
数打ちゃ当たると言うが、そんなことは起きなかった。
だからもう、解放場との距離はかなり縮まっており、このまま行けば余裕で辿り着く。
行くセーランは迷い無く進み、見える解放場を一瞬視界に入れた。
その瞬間だ。
真上から雷が落ちてきた。
急な落雷。
空は青く、黒い雲など見当たらない。
雷鳴すらも聴こえないのに、雷が急に落ちてきた。
それもセーランの真上。
彼を狙って落ちてきた、と言っても過言ではない。
即座の判断により回避を行っていたセーランは、すぐそこにあった戦闘艦の甲板上を見た。
あの場所に、見たことのある者を見付けたからだ。
別の戦闘艦の甲板上へと着地し、目を凝らして見る。
「これはこれは、久しいねえ」
漏れる言葉。
セーランの目には、宇天学勢院覇王会隊長である草野芽・実之芽だ。
雷をまとった実之芽が、甲板上にセーランの方を向いて立っていた。
先程の落雷とは違い、彼女からは雷が走る音が聴こえ、静電気からか微かに髪の毛が逆立っていた。
威圧に似たものを感じながら、
「最初から神化系術とは容赦無いなあ、おい」
「やっぱり来ると思ったわ。結界の壊したのは貴方ね」
「正確には短刀が、だけどな」
「どちらでもいいわ、今はね」
鼻で笑い、セーランは辺りを確認する。
船、艦の影に隠れて幾人かの者達が潜んでいる。
襲っては来ない。
宇天の隊長がそのように指示を出したのか、ただ単に近付かないだけか。
解放場との距離はまだある。
全長十五キロもある西貿易区域のほぼ中央に解放場はあり、半分の七.五キロ辺りにある。
今、セーランがいる場所は中央から二キロ離れたところだ。
逃げ切るのは無理だ。
背後から雷撃を叩き込まれて終わる。
以前の雷が群れが波となしたものが来たら、回避するには今の自分には無理だ。
「奥の手はあまり使いたくはないんだけどな。どうしてもって時には、まあ、使うしかないんだけども」
「何を言っているのかしら」
「こっちの話しだ、気にすんな。なあ、一つ聞きたいんだけども、いいかね?」
「答えられるようなことならね」
実之芽は至って冷静だった。
冷静過ぎる程に。
違和感を覚えながらも、一つ、実之芽に問う。
「お前が結界の発動者なのか」
「ええ、結界を発動したのは私よ。それがどうしたの
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