第一物語・後半-日来独立編-
第五十一章 その場所へ想い走らせたならば《2》
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り、足を前に、背中を後ろにした形だ。
左手から流魔線は出ており、縮ませる際には左手が前へ引っ張られる形となる。
セーランはその左手を後ろへ回し腰に当て、股から流魔線を出すことによって左手が引っ張られるのを防いでいる。
繋いだ流魔線を解き、戦闘艦を飛び越す形で行った。
そしてまた新たな戦闘艦へと、流魔線を繋げて空中を移動した。
『少し、聞いてくれ』
移動するなかで、前の八頭という者が言っていたことを思い出す。
えらく真剣な表情で、こちらに話し掛けてきたのを。
『辰ノ大花の者達は誰もが、家族を守るか、委伊達家を助けるかの二択のどちらかを決められるわけじゃない。
一部の者達は委伊達家を救うために動き、一部の者は家族を守るために黄森に下った。だがな、まだどちらを選べていない者も大勢いる。このなかで、俺達は如何に委伊達家救出に、迷っている者達を導けるかが重要だ』
風を割り、行くなかで脳裏で再生される。
『勿論、彼らにも意思がある。家族を守りたいならばそうしてほしい。この二択のうち、どらかを選ぶことは辰ノ大花の者にとっては身を引き裂かれるような思いなんだ。だから、どうか――』
どうか、
『他人任せだと言われてもいい。
だから、俺達、辰ノ大花から……委伊達・奏鳴を奪ってくれ!』
これを聞いた時は驚いた。
『委伊達・奏鳴を奪い、苦しみの二択を一択にしてくれ! それだけで辰ノ大花が救われる。
親しき者は駄目だった。だからこそ、今度は第三者のお前に託す!』
はっきりとそう言われ、
『奪っていけ、愛しているのならば。委伊達・奏鳴がまだ見ぬ世界へと連れていき、導いてやってくれ。
あいつは、奏鳴は、誰よりも救いを求めている。だが委伊達家としての立場が、あいつの自由を奪っている。本当に頼むぞ、既に奏鳴の精神はボロボロだ。
もう救ってやってくれ……。お前の愛が本物ならば、一途な奏鳴にその想いは届く筈だ!』
宙を行き、流れるように進むなかで黄森と辰ノ大花の者達を見た。
西貿易区域に待機していたのと、他所から増援として来た者達だ。
黄森の者達がセーランに長銃の銃口を向け、標準を合わせているが。セーランの後に続く学勢、正確には身体能力の高い獣人のルヴォルフによって阻まれた。
遅れて日来学勢による波が押し寄せて来て、黄森と辰ノ大花の者達はそちらの方へ気を取られた。
見計らい、一気に解放場との距離を縮める。
背後から新たな戦場の音が聴こえるが、振り向きはしない。
セーラン自身は解放場へ行くことが使命であり、彼らはセーランを解放場へ行かせることが使命だからだ。
見捨てるのではなく、役目を果たしに行くのだ。
まるでバリケードのように置かれた船と艦の
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