第一物語・後半-日来独立編-
第五十一章 その場所へ想い走らせたならば《2》
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ればならないのだから、同じことだが。
西貿易区域の地面はコンクリートで出来ており、土との境目は明らかだった。
先陣を切るように、西貿易区域との境界線上に立ち、青空を見上げた。
辰ノ大花を象徴とする青が、空には広がっていた。
空には白の雲が飾られ、大気によって流れていく。
のどかだった。
ここで大きく深呼吸をし、新鮮か空気を肺へと送り込んだ。
呼吸の動作から正面へと向き、
「これから宇天長救出の最終章に入る!
これが! 初めての日来による救いだ!」
叫び、続くのは、
「続けえええ――――!」
雄叫びと共に、皆一斉に駆け出した。
誰もが前へと進み、遅れないようにと足を動かす。
土の地面からコンクールの地面へと変わり、足音が変化する。
西貿易区域には、まだ浮上していないワイバーン級戦闘艦などが幾つもあり、またそのなかには輸送用航空船も見られた。
なかでも一際大きい戦闘艦。
全長二キロを越す船、艦に与えられるハイドレイク級の名を冠する戦闘艦が一艦見られる。
幅七十メートルはあるその戦闘艦の甲板上に、一段上がった解放場が設置されていた。
上から見れば円の形をなしており、中央に解放対象を置くタイプだ。
離れていても分かる白の解放場には、ぼやけて見えないがあそこに宇天の長はいる筈だと誰もが思った。
目に見えていても西貿易区域は南から北に十五キロ伸びており、幅は十キロである。全長からみれば日来とほぼ同格という破格のサイズだ。
しかし世界から見れば、それは標準サイズなのだ。
むしろ航空船からみて日来は巨大なだけに過ぎず、世界はそれよりも大きい。
崩壊世界とは違う、新たな世界。
それこそが創生世界なのだ。
巨大な世界に対して、彼らの存在とはあまりにも小さいものだ。
されど、どれ程小さかろうとも日来勢は進むことを止めなかった。
それが、自身の選んだ道なのだ。
●
南から西貿易区域のほぼ中央にある解放場に向かって、北上する学勢の群れ。
長であるセーランが先行し、後ろから皆が付いて行く形だ。
セーランは流魔操作により流魔線を近くの船や艦に繋げ、空中を移動していた。
一度高く飛び上がり、後ろを向く。
「俺達が侵入して来たのは明白だ。解放開始されるまえに俺は先に行ってるぜ」
「「了解!!」」
返事を聞いてから、身体を反転させて行った。
流魔線を近くの戦闘艦の外装甲へと繋げ、一気に縮ませることで推進力を得て、行く。
たった一本の流魔線を頼りにしているが、空中制御は訓練してある。
ものにするのに一年と半年近く掛かり、始めは縮める流魔線に引っ張られるような形であったことを思い出す。
しかし、今のセーランは片手のみで流魔線を操ってお
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