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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
八十八話:母の愛
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るが良かろうの」
「お心遣い、痛み入ります。当然、目的を果たしさえすれば。すぐにも、立ち去るつもりです」

 あくまで真っ直ぐに太后様を見詰めて淡々と語るヘンリーと、込み上げるものを押さえるように、胸に手を当てる太后様。

「……妾は、少し、疲れた。もう、用は済んだであろう。下がるが良い」
「はい。太后様におかれましては、どうぞご自愛くださいますよう」

 一礼し、踵を返して立ち去るヘンリーに私も続き、背後から太后様の振り絞るような声がかかります。

「……もう。来るで無いぞ」

 一瞬足を止めるも返事はせずに、すぐにまたヘンリーが歩き出します。


 ヘンリーを追いかけて、太后様の執務室を出て。
 廊下を少し歩き、角を曲がって人目が無くなったところで、立ち止まったヘンリーに抱き締められます。

「……ヘンリー」
「……頼む。少しでいいから」
「……わかった」

 背後でまた愚痴ってるコドランとそれを宥めるピエールと、いつ通るかもしれない人のことが気になりますが。

 母親として愛してくれた人の、あんな姿を見てしまったら。
 例えば私が、ママンがあんなになってる姿を見てしまったら。
 それでも自分を優先して、気遣ってなんて貰ったら。
 きっと、平気ではいられないから。

 もう少しだけ、このままで。
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