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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
八十八話:母の愛
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。皆の者、外せ」

 太后様の指示で、人間も魔物(人間に擬態)もぞろぞろと部屋から出て行きます。

 ……って、だからいいの?
 この国の最高権力者を、こんな不審者と、そんな簡単に。

 ……と思ったら、入り口付近に数名の魔物(人間に擬態)が残り、見張りに付いてます。
 私たちもだけど、太后様のことも見張ってるんだろうなあ。

 太后様が、改めて私の顔を眺めます。
 十年前は綺麗に着飾って、手入れも行き届いて、女として輝いてるみたいだったのに。
 飾り気も無く動きやすい服装に身を包み、すっかりやつれて白髪が増え、眉間には深い皺を刻み、厳しい表情が固定されてるみたいです。

 年齢的には、まだまだお若いんだろうに。
 色んな重圧が、こんなにも彼女を老けさせたのか。

 見詰める私をじっと見詰め返し、太后様が呟きます。

「……美しい若者じゃの。……何処ぞで、会うたことがあるかの?」
「……いえ。……いえ、もしかしたら。昔、お目にかかっていたかもしれません。……十年前に」

 私の言葉に、また太后様が私をじっと見詰めます。

「……十年、か。あの頃に、この国を訪れたのか。そうじゃの、()(なた)程に若ければ。幼い子供であったろうから、記憶に無くとも仕方が無い」

 太后様が、私からヘンリーに視線を移します。
 そして一瞬、目を見開いて呟きます。

「其方は……。……いや、そんな訳が無い。少し、似ているかと思うたが。……今更、こんな希望に縋るとは。全てを割り切ったつもりであったが、まだまだ……」
「……私が。……誰かに、似ていますか?」

 ヘンリーが静かに問いかけ、はっと我に返った太后様が答えます。

「いや、気のせいであった。それより、其方ら。なかなかに、見所がありそうな若者たちじゃの。どうじゃ?この国の国王、我が息子たるデール陛下に、仕えてみる気は無いかえ?」
「我々のようなしがない旅人に、勿体無いお言葉です。しかし申し訳ありませんが、目的のある旅の途中で」
「そうかえ。残念じゃの。差し支え無ければ、目的とやらを聞かせては貰えぬか」
「……家族を。大切な人を救い、守るための旅を。今も、この先も。続けるつもりです」

 真っ直ぐに語るヘンリーを、太后様も真っ直ぐに見返して、その表情に驚愕の色が浮かび。

「其方……!……いや、何でも無い。そうか、そのような目的あってのことであれば。無理強いは、出来ぬの」

 声を上げかけて口に手を当てて抑え、取り繕うように言葉を続けます。

「……しかし、その救いたい家族とやら。仮に親であれば、仮にも親であるならば。何より、子の幸せを願うものじゃ。この国に仕えず、旅を続けるというならば。居心地が良いとも言えぬであろうし、早々に立ち去
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