一話
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リウイ執務室
「今なんと言ったパイモン」
「ですからリウイ様もご退屈でしょう、これも御身を案じての事です」
人の愚かな欲によって交わらない二つの世界が融合した世界、ディルリフィーナ。その世界にあるラウルバーシュ大陸。その中原アヴァタール地方でかつて古の邪竜の復活を目論み世界を手に入れようとした者と、それを人知れず阻止した、神殺しと世に恐れられる者と闇王と世に謳われた者とその仲間達。その戦いで神殺しは力の大半以上を失い闇王は再び亡き妻イリーナの魂を見失った。
闇王リウイ・マーシルンは亡き妻イリーナの魂を探すため国を息子達に任せ、仲間と共に先に国を飛び出した孫娘リフィアと、一緒に連れ出されたエヴリーヌを追い、旅に出た。それからしばらくの後リウイ達は特に進展も無く本国に戻り国政に対しての助言や軍の演習。また民からの陳情の受け入れなど職務に身を入れていた。そんなある日の事
突如、リウイの部屋に姿を出したのは、リウイの父グラザやエヴリーヌと同じ深凌の楔魔のパイモンである。ここ最近は面倒事を持ち込みようが無いので壷から出し、魔術の研究等役立つ事に使っていたが、こんな話を持ち出して来るとはリウイも思いつかなかった。
「いきなり俺の執務室に来て、霞の祠に未知の空間があるから入って、確かめてみましょうなどぬかして、何を考えている」
「いえ、今回は私自身が興味を引く案件でしたのでぜひ、リウイ様をご一緒して頂きたいと思っただけです。」
「お前が興味を持つなどよほどの物みたいだな、一体なんだ」
「詳しくは解らないのです、わかっているのは書物という事だけです」
「どんな書物だ」
「持ち主の望みが叶うという書です」
その言葉を聞きリウイは呆れた
「それを使ってどうする気だ。そんな書物で俺を魔王に仕立てたいのか」
「いえ。百年前なら知らず、今のメンフィルではリウイ様が魔王になられてもシルヴァン陛下が抑える事ができるでしょう」
リウイの疑心をパイモンは否定し、リウイはその言葉に頷いた
「そうだな、今のメンフィルは確実にお前の嫌いな中庸の道を進んでいる。人と魔族が共に住める国だ」
「嫌味ですか?」
「まあな。しかし、貴様が知りえないモノに興味が無いといえば嘘になるな、良いだろう、貴様の口車に乗せられてやろう、それに他の者らも気になっている様だしな」
そう言って立ち上がり部屋の扉に近付き、リウイが部屋の扉を開けると
「きゃっ!」
「おっと!」
「あう!」
三人の女性が部屋に流れ込んできた。一人目は大胆な衣装を身に纏った髪を腰まで伸ばした女性。二人目は六枚の羽を生やした女性。三人目は白色の修道服に身を包んだ女性。いずれもリウイの有能な配下として数多の戦いに参加した側近である。
「カーリアン、ファーミシルス、ペテレーネいつから覗いていた」
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