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少年と女神の物語
第五話
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後半は槍たちに・・・かけた・・・」
「その時点で、決まっていたのだな・・・だが、この程度の拘束、我を捕らえるにはまだ足りぬ!」

 ゼウスは全身に力を込め、拘束を破壊しようとする。
 でも・・・こうなることも、想定済みだ。俺は両腕を左右に広げ、両の掌を開く。
 すると、そこに二本の槍が投函の術で送られてくる。

「貴様・・・まだ武器を!?」
「俺が持ってたんじゃねえよ。俺の家族が、勘で送ってくれたんだ!」

 そして、左手に持つ槍――――呪詛が込め切れていないブリューナク(リズ姉の贈り物)――――と右手に持つ槍――――呪詛が込め切れていないゲイ・ボルグ(立夏の贈り物)――――を構え、ゼウスの両の掌向けて、全力で投げる。

「神話に記されし槍よ!神を貫き、捕らえよ!」

 呪詛が込め切れていなくても、神話に記されし槍だ。
 しっかりとゼウスの掌に刺さり、十字架に固定した。

「が・・・おのれ・・・我を傷つけるとは・・・!」

 ゼウスは目にわかって怒りを表し、俺を睨んでくる。

「だが!我はまだ死なん!この程度、まだなんともないわぁ!!」

 まあ、まだ駄目だよな・・・そう、まだこれだけでは。
 でも、この場にはもう一本、聖遺物の槍が、神を殺す力を持つ槍がある。

「武双!受け取って!」

 そう、まだ・・・アテがいた祭壇にあった、ロンギヌスがある。
 アテが投げてきたそれをつかむと、先ほど投げた二槍とは比べ物にならないほど、禍々しさが感じられた。
 呪詛を、十分すぎるほどに込めてある。

「狂気の女神が込めた呪詛!それで十分ですよね!?」
「ああ。これで・・・十分すぎるほどに十分だ!」

 俺はアテから受け取った槍を構え、ゼウスのほうを向く。
 これが、俺が立てた作戦。家族に頼りっきりな、情けない作戦の全貌だ。

「さあゼウス。これでもまだ、死なないといえるか?」
「ハハ、ハハハハハハ!よい、よいぞ戦士よ!もう足掻かん!我に敗北を与えてみよ!」

 ゼウスは大きく笑い、俺にそう言って来た。
 さて・・・最後にもう一踏ん張り、行きますか!

「ロンギヌスの聖槍よ!神を抉り、その命を奪わん!」

 そして、俺が投げたロンギヌスがゼウスを貫き、その命を奪うのと同時に、俺は倒れた。

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