第五話
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・いや、予想以上の期待ができる。神話の時代であれば、神々への仲間入りをさせてやるのだが・・・」
「悪いけど・・・家族を・・・捨ててまで、偉くなる気はねえ・・・よ」
どうにか立ち上がり、再び二本の槍を握ったが・・・血が足りない。視界も霞んできた。
傷口には軽く治癒の術をかけたが、ここまでの傷だと大して意味はない気がする。
「まだ立ち向かうのか?間違いなく、貴様は死ぬぞ?」
「死なねえよ。神代が守るのは・・・自らも含んだ、神代だ・・・」
そう言いながら、力なく右手の槍をゼウスに投げる。
ヘロヘロと飛んだそれは、簡単にゼウスに砕かれた。
だが・・・それでいい。今は、最後の力を温存するときだ。
「これが・・・今、俺の手元にある、最後の・・・槍だ」
「そうか。よく戦った、人の子よ。名を名乗れ。覚えていてやろう」
「そうか・・・じゃあ、冥土の土産にくれてやるよ」
左手の槍も投げ、それがゼウスに砕かれて、計算通りの位置に散るのを確認すると、百七回の計算が、一度たりとも狂わなかった幸運に・・・奇跡に感謝しつつ、笑みを浮かべて名を名乗る。
「俺の名は神代武双だ。自分を殺したやつの名は、覚えておけよ!」
「貴様、ついに狂ってしまったか?」
「いや・・・我が武のつくりし陣よ!」
俺が言霊を唱え始めると、ゼウスと俺が戦っていた床全体に魔法陣ができ、輝きだす。
「これは・・・人の子よ、一体いつこれを!」
「汝らは我が召喚の陣である!今ここに、我が望みしものを召喚せよ!」
ゼウスが俺に聞いてくるが、言霊を途絶えるわけにはいかない。
今驚いている隙に、一気に唱えきる!
「我が望みしは十字!我が敵を捕らえし十字架である!いまここに・・・君臨せよ!!」
言霊を唱えきると、ゼウスの足元から十字架が現れ、そこに備えられている拘束具がゼウスの両腕、両足を固定し、拘束する。
そして、魔方陣を構成していた槍の破片が十字架に集まり、ゼウスを二重三重に拘束する。
そう・・・魔方陣は砕かれた百七の槍の破片によって形成されていたのだ。
もちろん、こんなことができるとは思ってもいなかった。
なんせ、百七の槍の破片が、全て狙った位置に落ちてようやく、完成する。
神相手にここまでの時間生き残ることすら何千、何万の奇跡が必要なのに、魔法陣を作るためにさらに十万では足りないほどの奇跡。本当に、悪運強いな。
だが、一度落ちてさえしまえば、其の場を動かないように細工はしたので、成功を期待することはできた。
「まさかここまで出来ようとは・・・だが、何故あの戦いの間、陣を形成し続けられた?」
「最初に唱えた、魔術・・・あれは、前半は防壁だ・・・けど、
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