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少年と女神の物語
第五話
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 さて、俺がなんでこんな状況に巻き込まれたのか、その経緯を振り返ったわけだけど・・・すごく単純なことだった。
 ただ、家族を守りたい、それだけだ。それだけ分かっていれば、何にも問題ない。

「悪いが、両方お断りだ。俺は何が何でも、アテをつれて帰る」
「そうか・・・神にそむいた罪は重いぞ、人の子よ」
「知ったこっちゃないね。家族のためなら、いくらでも背負ってやる」

 さて、こうは言ったが勝てるだけのものがない・・・ま、仕方ないか。

「武双・・・貴方、今の状況が理解できているのですか?」
「理解できてるよ・・・まずはアテの安全からか」

 あんまり期待はできないけど、防壁くらいは張っておこう。
 アテが身代わりになる、とかも防げるし。それに、あれ(・・)をゼウスから隠れて行える。

「種よ、今ここに芽吹け。高く伸び、我が親族を守りたまえ」

 そう言いながら、俺はアテを後ろにある祭壇の方に突き飛ばし、俺とアテの間に握っていた種を投げる。
 それらが床についた瞬間に、勢いよく蔓が伸び、アテと俺を遮る壁ができる。

「地に根を張り、我が願いのため、その場を動くことなかれ!」

 言霊を唱えきるのと、植物の防壁が完成するのとは同時だった。

「武双!?いったいなにを・・・」
「アテはそこにいて、俺達が生きて帰れるようそこで(・・・)祈っててくれ」

 俺はそこで、の部分を強調して言い、ゼウスのほうに集中する。

「わざわざ待ってくれたのか?」
「我は神だ。それくらいの器量は持ち合わせておる。別れは済んだか?」
「別れるつもりはねえよ。何度も言ってるだろ、俺とアテは二人で帰るって」

 二槍を構え、ゼウスの攻撃に備える。

「それは叶わぬよ。貴様はともかく、我が偽りだけは殺す。現れよ、ケラウノス!」

 ゼウスは手元に雷でできた武器を呼び出す。
 どうやら、今まで槍だと思っていたそれは杖だったようだ。

「キュクロプスの杖よ、(いかずち)をまとい、眼前の敵を消し去れ!」

 そして、ゼウスはそれを俺に向けて放つ。
 避ければ間違いなく防壁が壊れるので、それはできない。
 残る選択肢は一つだけだ。

「我がこめしは全てを弾く力。我が武は何者をも弾かん!」

 槍の片方を杖に向け、その刃が下になるように構えてタイミングを待ち・・・

「神槍・・・絶刃!」

 先ほど使ったのと同じ、何者をも弾く技、神槍絶刃を放つ。
 片手のみだったためきつかったが、真上に弾き飛ばすことに成功する。
 もちろん、槍は粉々になったが、それも計算済みだ。

「砕けし武よ、汝らはいまだ健在成り!」

 槍で薙ぎ払うようにして破片をゼウスに飛ばす。

「そのようなもの、神
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