デリオラと月の雫
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「見れば見るほど不気味な月だね」
村長のモカが貸してくれた宿屋の窓からハッピーが空を見上げる。
「ハッピー、早く窓閉めなさいよ。村長さんの話、聞いてなかったの?」
「何だっけ」
「月の光を浴びすぎると僕達も悪魔になっちゃうんだよ」
そう言いながらルーが窓を閉め、ハッピーを抱えて座る。
「それにしてもまいったな」
「さすがに月を壊せってのはな・・・」
「うん・・・」
「僕、ギルドに入って10年経ったけど、こんな依頼初めてだよ」
月を壊す、というかなり無謀な依頼に戸惑う。
「何発殴れば壊れるか見当もつかねぇ」
「どれだけ空気の圧を加えれば壊れるか解らない」
「壊す気かよ!?」
・・・2名を除いて。
「無理なんだよ。月を壊すなんてよぉ」
「そうね・・・どんな魔導士でもそれは出来ないと思う」
「でも月を壊せっいうのが依頼だよ?」
「出来ねぇってんじゃ妖精の尻尾の名が廃る」
「出来ねぇモンは出来ねぇんだよ!第一、どうやって月まで行く気だよ」
「ハッピー」
「さすがに無理」
「んじゃあルー」
「ん〜・・・魔力が空っぽになっちゃうだろうけど、行けるんじゃない?」
「無理だからっ!」
ルーの言葉にツッコみを入れるルーシィ。
そして自分の意見を口にする。
「『月を壊せ』っていうのは、きっと被害者の観点から出てくる発想じゃないかしら。きっと何か他に呪いを解く方法があるはずよ」
「だといいんだがな」
そう言うと、くあーっと眠そうに大きな欠伸をするグレイ。
「よし!だったら明日は島を探検だ!」
「今日は寝よう!」
「あいさー!」
ナツとルーとハッピーは勢いよく寝床に滑り込む。
「考えるのは明日だ・・・」
グレイもぱたっと寝床に伏せる。
「そうね。あたしも眠いし・・・寝よ」
目をこすりながらルーシィも寝床に入る。
ちなみに並びは左からグレイ、ルー、ルーシィ、ナツである。
ハッピーはルーシィの頭上だ。
「・・・って!こんな獣と変態と呑気男の間でどーやって寝ろと!?そもそも何で同じ部屋なのよ」
まぁ、そう言いたくもなるだろう。
周りにいるのは全員男、普通なら別室を用意してくれていてもいいはずなのだが・・・。
「・・・ん?」
後ろについた手に、ふわっとルーの手が触れる。
何気なく後ろを向いて・・・少し目を見開いた。
「泣い・・・てる?」
ルーの目から涙が一筋零れていた。
「母・・・さん・・・父さん・・・」
小さく呟かれた寝言に、前にアルカが言っていた一言を思い出す。
『ルーは・・・10年前に両親が殺されてんだ』
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