Mission
Mission10 ヘカトンベ
(4) マクスバード/リーゼ港 B
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はミラたちの手当てに回った。
「ルドガーとミラとミュゼと王様、レッドカードでチェンジ。傷は治癒術で治っても体力回復には効かないんだから。ココは――ワタシ、に、やらせて」
「けどそれじゃお前…! ユティだって兄さんと同じ…時歪の因子化してるはずだろ!?」
「ええ。でも命に係わるほどじゃない。ワタシだけがたった一人、クロノスに巻き戻しをさせずに戦える。ワタシの命、安くはないけど、アナタのためなら惜しくもない」
ユティは普段通りにフリウリ・スピアを構える。クロノスもまた応えて灰黒色の立体術式陣を展開する。
先に動いたのはユティだった。駆け出し、クロノスに槍を突き出――そうとして、
巨躯の赤い男に遮られた。
「安かろうが惜しくなかろうが命は一人一つきりだ。安易に捨てるな」
「ビズリー・カルシ・バクー……」
立体陣が消えた。さすがのクロノスも正史世界の「最強」が出ては様子見せざるをえないらしい。
「『カナンの地』に入る方法なら、私が知っている」
「「ええ!?」」
ルドガーとミラの声が重なった。知っているのなら今までどうして教えてくれなかった、と全力で聞きたさそうな声。
(無理もない。この二人は特に関わりが深いはずなのに、クルスニク一族の事情に通じてないものね)
「エル」
「え? ――へ!?」
ユティはエルの肩を抱いて前に引っ張り出し、ルドガーからより引き離した。
「強いクルスニクの者の魂、だろう?」
ビズリーの暴露が、至近距離にいたエルとユティだけに届くように。
エルは真っ青だ。利発なエルは気づいてしまった。幼いゆえに、小難しい理屈を弄さず、ただ結果がどうなるかを、ジュードたちより速く弾き出した。
――「橋」を架けるためにはクルスニク一族の死が必要。では「橋」を担うべく殺されるのは何者なりや?
そう、ルドガーだ。エルにとってこの世界で生きる寄る辺である、ルドガー・ウィル・クルスニクなのだ。
もちろん今この場にいないユリウスもリドウも、ビズリーの中では候補に入っていよう。だが、ここでエルに「ルドガーの代わりに死ぬ人間はちゃんといるから安心しろ」と言うわけにはいかない。利としても、情としても。
「貴様――」
「おっと。最後の『道標』、『最強の骸殻能力者』は分史世界で手に入れた。正史世界には、まだ残っているぞ。私と『クルスニクの鍵』、同時に相手をしてみるか?」
ビズリーは、骸殻をまとったままのユティを指してきた。
「ビズリーさんも骸殻を…!?」
「――ならば」
気づけばクロノスに懐に入られていた。空間転移。対処が間に合わず、腹を強かに蹴られて地面に転がった。
「は――うぇっ、ゲ
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