暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
地底世界ヨツンヘイム
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謎の村に降り立ったリーファとキリトは、まず住民────NPCの姿がまるでないことに首を傾げた。

それでも宿屋の店主くらいはいるだろうと、なぜか空中に留まっていたレンとカグラを放っておいて最も大きい建物に入ろうとした。

その瞬間。

村を構成していた三つの建物が、全部同時にどろっと崩れた。

ぬるぬる光る肉質のこぶになってしまった宿屋にあんぐり口を開ける暇もなく、足元の地面がぱっくり左右に割れた。その奥にあったのは、うねうね蠕動する暗赤色の洞窟。

そう、リーファ達が村と思って入ったのは、地面に埋まっていた恐ろしく巨大なミミズ型モンスターが、口の周りの突起を変化させて作った寄せ餌だったのだ。

リーファとキリト、その胸ポケットに入っていたユイは、強烈な吸引力によってひとたまりもなく丸呑みされた。

巨大ミミズのぬるぬる滑る消化管にぐびりぐびりと運ばれる間に、このまま胃酸に溶かされるのだとしたら、まず間違いなく一年間のアルヴヘイム・オンラインプレイ歴で最悪の死に方だ!と確信したりもした。

しかし幸いながらもリーファ達はミミズの口に────正確には胃に合わなかったようで、およそ三分近くも続いた魅惑の消化器ツアーの末に、どこかにぽいっと放り出された。

全身に纏わりつく粘液の感触に鳥肌を立てながら、とりあえず背中の翅で落下を止めようとして、リーファは再び戦慄した。

飛べなかったのだ。

どれほど肩甲骨に力を込め、翅を震わせようとも揚力が生まれない。いずことも知れぬ薄暗闇の中を、続けて排出されたキリトとともに割と本気な悲鳴を響かせながら一直線に落下し、いよいよ覚悟を決めた時、身体を包んだのは、ぼすん!という柔らかくて艶やかなクッションの山に突っ込まれたような感触のみだった。

じたばたもがいてから顔を引っ張り出したリーファがまず最初に視認したのは、こちらを食い殺さんばかりの────もとい、気遣わしげな視線を向けてくる巨大な黒狼、正式名称《フェンリル・ラウンダー》で、リーファ達とスイルベーンから旅をしてきた猫妖精(ケットシー)のレンの使い魔であるクーの姿だった。

ご主人様であるレンは、巨大ミミズに飲み込まれなかったはずなのに、なぜクーだけがついて来ているのかという疑問をひとまず棚に上げておいて、リーファが次に見たのは、月や星の輝く夜空の代わりに果てしなく広がる岩の天蓋だった。

うへぇ洞窟か、道理で飛べないわけだ、と顔をしかめながらぐるりと視線を巡らせた途端、目と鼻の先の雪原をゆっくり移動していく、見上げるような異形の姿が眼に飛び込んできた。

それが、スクリーンショットくらいでしか見たことのない恐るべき《邪神級モンスター》であることは疑いようもなかった。

すぐに顔をクーの背の体毛に突っ
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