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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
とある剣士の神剣抜刀・H
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込めず狼狽えた男が一人。誰かに襲撃されていることに気付いた男が一人。逃げようとした男が一人。流れるように地面に伏してゆく。後ろを固めていた残り3人ほどの男達は既に一人が倒れており、残り二人になった男たちが何やらわめいている。
二人の目線の先には、一人の子供が立っていた。
一瞬目を疑った。こんな物騒な場所に子供が突っ立っていたことに――ではない。
その余りにも異質で奇抜な姿に、だ。
その体格に不釣り合いで異質な黒い鉄仮面とも兜とも知れない物に顔を包んでいるため性別は分からない。ただ、そのミスマッチな兜の奥は何もないかのような漆黒に染まっており、それが得体の知れない恐怖をかきたたせる。手には本物の西洋剣にしか見えない大きな剣を持っており、それの腹を器用に使ってろくでなしを倒していたようだ。その証拠に刃にも男達にも血液は付着していない。
そこまで考えて俺は自分がいかにおかしい事を考えているかに気付いた。
俺は馬鹿か。小学生みてぇなガキが何で兜をかぶって剣を振り回してろくでなし共相手に無双するなんてあるはずがないだろう。しかし何度目をこすっても頬を抓っても、その子供はそこにいた。
それどころか子供を捕まえようと近づいた二人の内一人の顔を剣の腹でひっぱたき、もう一人が咄嗟に銃を構える寸前にその男の鳩尾を殴り抜いた。
間違いない。中身が本当にまともな人間かは分からないが、あの子供は確かにここに存在して馬鹿どもを叩きのめしている。ノされた連中は一様に意識を失い薄汚いアスファルトの上に倒れ伏していた。
そこで腰抜仲間の我が相棒が気付く。あの少年が被っている兜は、俺達の仕事を邪魔したあの漆黒の鎧と同じ奴だ。つまりあの少年は・・・
((しっこくジュニア・・・だと・・・!?))
体格的に見てもご本人ではないのは間違いないだろう。まさかのお子さん登場に、俺達はしばし呆然とするしかなかった。そしてその厳つい兜を取った少年は、そのくりっとした可愛らしい目をこちらに向け、子供特有の高い声で 何事もなかったかのようにこう話しかけてくるのである。
「おじさんたち、だいじょうぶ?」
その日、俺達は神ではなく天使に逢ったのだ。・・・ギャップ萌えだと言われたら否定は出来ないが。
《少年、顔を隠したのに自分から晒してどうする》
(あっ・・・うっかり)
まぁ、あれだ。とにかく・・・俺達はその日から誰にも襲われなくなった。
そしてその日から、この町には変な噂が流れるようになったんだ。
曰く、それは年端もいかない子どもである。
曰く、それは誰かが虐げられている時に現れる。
曰く、それは顔を隠すように漆黒の兜を付けている。
曰く、それは美しい装飾の大きな西洋剣を武器にしている
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