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とある星の力を使いし者
第92話
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の男達みたいになりたくなかったらな。」

「む、麦野、その男の言うとおりだよ。
 此処はさっさと逃げた方が良いって訳よ。」

「私もフレンダの意見に超賛成です。
 滝壺さんも体調を乱しています。
 あの化け物相手にするのは、超厳しいかもしれません。」

「・・・・・・・・・・・・・分かったわ。
 絹旗は滝壺を連れて、後は車に急ぐわよ。」

その指示を聞くと、迅速に行動する。
絹旗は能力を使い、滝壺を抱き上げる。
絹旗の能力である「窒素装甲(オフェンスアーマー)」は空気中の『窒素』を自在に操ることが出来る。
その力は極めて強大で、圧縮した窒素の塊を制御することにより、自動車を持ち上げ、弾丸を受け止めることすらできる。
滝壺一人抱きかかえる事など簡単だろう。

「ごめんね、きぬはた。」

「滝壺さんがあれを見て体調を崩すのは仕方がありません。
 正直、私も超気持ち悪いですけどそうも言ってられませんから。」

滝壺を抱え、自分達が入ってきた穴から施設を出て行く。
それに続いて、フレンダも走って出て行く。
最後に麦野も出て行こうとするが、直前で止まる。

「あんた、名前は?」

「麻生恭介。」

麻生は視線を逸らさずに麦野の質問に答える。

「次が合ったら、一応礼を言ってあげるわ。」

「それじゃあ、それを楽しみしておく。
 後、俺は死なないぞ。」

そこまで話をした時だった。

「あら、誰が帰すと言いましたか?」

そう言うと、五本の触手が出現するとこちらに向かって襲い掛かる。
麻生は刀を構えるが、麻生を通り越しさらには麦野を通り越して触手が外に出て行く。
それだけでこの触手は何をするのか分かってしまった。

「絹旗!!!」

麦野は大きく叫ぶ。
それに反応した絹旗は一瞬だけ後ろを確認する。
五本の触手がこちらに向かって襲い掛かって来るのが確認できた。
前にいるフレンダの腕を掴み、横に跳ぶ。
触手は絹旗達を素通りすると、前にあるキャンピングカーに突き刺さる。
そのままキャンピングカーを持ち上げると何度も叩きつけ、完全にキャンピングカーを破壊する。
麻生は後ろに下がり、麦野を片手で抱きかかえると絹旗達のいる所まで下がる。

「もしかして、逃げる事が出来ないって訳?」

「超まずい展開です。」

「とりあえず、降ろしてくれない?」

麻生は乱暴に麦野を降ろす。
麦野は麻生を睨みつけるが、それを無視する。
バゴン!!、という音と同時に施設を破壊してあの触手の集合体がこちらに向かってゆっくりと近づいてくる。

「貴方達は逃がしません。
 特に能力者を取り込めば、どうなるか興味があります。
 まぁ、こちらには実験体もいますが。」


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