第92話
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ぐちゃという奇妙な音をたてている。
触手の間から何かが飛び出てくる。
それは人間の目玉だった。
その音を聞いた麦野達は吐き気を覚えたのか、口元を手で当てている。
その音だけではなく、見ているだけで気持ちの悪い触手の目玉やそこから出てきたグロテクスな目玉、それらが合わさってさらに吐き気を感じるのだ。
滝壺に至っては、完璧に目を逸らし吐く一歩手前まで来ている。
それを見た麻生は険しい表情を作り、刀を強く握る。
「お前、まさか。」
麻生はその触手の中から聞こえる異音に気が付いたのか、睨みつけながら言った。
「そう、食べているのですよ。
元々、処分するつもりでしたのでちょうどいいです。」
八雲の身体を取り込んだのか少し大きくなったように見える。
「あ・あああ・あああああああああああああああ!!!!!!
な・なん・なな・何なんだよあれは!?」
その時、横から声が聞こえた。
麻生は視線だけ動かすと、どうやら気絶した研究者が目を覚ましたようだ。
その声に反応したのか続々と目を覚ましていく。
そして、この世の物とは思えない触手を見て驚きの声をあげた。
「うるさいですね。
少し黙っててくださいませんか?」
声はそう言った。
麻生にはその触手が次にどういう行動を取るのか分かってしまった。
「お前ら逃げろ!!」
麻生の言葉に誰も耳を貸さない。
ふふふ、と笑う女性の声が聞こえた。
「もう遅いです。」
触手の身体からさっき出てきた触手の倍以上の触手が出てくると、男達に向かって襲い掛かる。
「へ?」
そう呟いた瞬間に、男のちょうど眉間の辺りを触手が貫く。
ぴくぴく、と数回痙攣した後に男は動かなくなった。
それを見た男達は悲鳴をあげるが、すぐに触手が男達を捕える。
捕えた男達を自分の身体に近づけ、取り込ませる。
その中にはまだ生きている者もいた。
「い、嫌だ!!
死にたくない!!
あ、あんた!!助けて」
言葉を言い終える前に身体は完全に取り込まれてしまう。
触手の内部から悲痛な悲鳴とぐちゃぐちゃという音が聞こえる。
男達全員を取り込んだ、触手の身体はさっきよりも数倍に膨れ上がっていた。
「見捨てるなんて酷い人ですね。」
「俺が此処を動いたら、お前は後ろの女性達まで取り込むだろう。」
「あら、ばれてましたか。
本当はそっちの雌達に興味がありましたが、まぁいいです。
貴方を取り込めばそれで私達の勝ちです。」
すると、さっきよりもさらに多い触手が出現する。
麻生はそれに警戒しながら、後ろにいる麦野達に話しかける。
「おい、あんたら。」
「・・・・・何よ。」
「さっさと此処から逃げろ。
さっき
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