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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第27話 「冷静と情熱のあいだ」
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大きくなっていますね。彼女、お菓子作りが得意なんですよ。
 意外な取り柄かも?

「俺の好みか……エルトベアザーネトルテかヘレントルテだな」
「ほほう。中々おもしろいですな」

 これまた両極端な。
 エルトベアザーネトルテって、いちごのトルテですよ。ぶっちゃけいちごのショートケーキ。
 ヘレントルテはワインをたっぷり使ったトルテだし、皇太子殿下の二面性ですねー。
 うわっ、アンネローゼの目がぎらりと光ったぁー。
 怖いから肉食獣のような目はやめて。

「姉上、わたしはチョコレートの方が好みです」
「はいはい」
「うわっ、なんておざなりな」

 うん? 皇太子殿下がこちらを見ましたね。
 どうしたのでしょうか?

「ラインハルト。ちょっと来い」
「なにか嫌な予感がする」
「きっと、女装して出ろって言うんじゃない?」
「マルガレータさん、いくらなんでもそれは……」
「別に女装しろとは言わんから、来い」
「皇太子殿下もそう言ってますし、行ってきます」

 女装せずに済むと、ラインハルトが喜んで向かいました。
 ううー残念。
 見たかったなー。
 と思っていたら、ラインハルトのええっーという声が聞こえてきました。
 なになに? どうしたの?
 興味が湧いてきました。そそっと忍び足で近づきます。

 ふむふむ。ほほー。貴族の子供達と一緒に、テールコート型のジャケットに簡略化したゲートル。昔の軍隊の儀礼服ですねー。を着ろと。
 おおー。それはそれでかわいいかも。
 ブラウンシュヴァイク家のエリザベート様とリッテンハイム家のザビーネ様は、白い花柄のワンピースにブーケときますか?
 幼い女の子ですから似合うでしょうね。
 うむ。かわいい。

「マルガレータがショタだけでなく、ロリにもなった?」

 だーかーらー。エリザベート。
 失礼な事を言わないで下さい。

「本当の事でしょう」

 がぁ〜っでむ。
 わたしの周囲の人々はろくでもありません。

「お前が言うなっ」

 なぜでしょう、みなの声が揃ってしまいました。
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