第27話 「冷静と情熱のあいだ」
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か?」
あ、シトレが呆れたような表情を浮かべた。
私自身、馬鹿なことを言っているという自覚はある。
「反フリードリヒ派の代表であったクロプシュトック侯爵の息子が、いま宰相府にいる。帝国改革の一員として活躍しているのだ。息子を蔑ろにされん限り、皇太子に刃向かう事はないだろう」
「敵を取り込んだか」
「皇帝の子を産んだベーネミュンデ侯爵夫人も、皇太子の庇護を必要としている。皇太子には対抗馬がいない。反皇太子派といっても担ぐ相手がいないんだ」
「ブラウンシュヴァイクとかリッテンハイムはどうだ?」
「その二人は、娘だ。しかもまだ幼い。皇太子の敵ではない」
「国内に敵がいない状態か……厄介だな」
「しかもあの皇太子。出征を控えていたんだぞ。それを同盟側が出兵しようとしているんだ。二年、二年も戦争がなく、ホッと一息吐けていたというのに……。帝国側の反感は強いだろう」
そうだ。同盟側もこのままなし崩し的に、休戦状態を続ける事ができたはずだ。
軍需産業や主戦派の声に押される形になった。
もし仮に、あの皇太子が帝国の民衆に「そんなに同盟が戦争したいというのなら、奴らを徹底的に叩きのめしてやれ」とでも言い出せば、いやがおうにも士気が高まるだろう。
反戦気分など吹き飛んでしまう。
時期を誤った。
帝国側から手を出させるべきだった。
「それでもあの皇太子、冷静で我慢強い。実際に軍を動かしていない。こちらの動きを見ている」
「このまま出兵を見送れば……」
「帝国軍も動かないだろうな」
「白紙に戻すべきだ」
「それをするのが、政治家だろう!!」
■宰相府 マルガレータ・フォン・ヴァルテンブルグ■
本日は、宰相閣下の命令によってノイエ・サンスーシで舞踏会が開かれます。
TVやマスコミ関係者も多数、招かれています。
私達一応寵姫たちは、最近閣下に呼ばれていた服飾関係者によって、作成された衣装を身に纏っています。
私達は見世物ですか?
あ、閣下がマスコミの方と、打ち合わせしているようです。
何を話しているんだか?
「古来より、寵姫というのは流行の担い手だろう。帝国の変化を見せるにはちょうど良いと思うが」
「帝国女性が狙いですか?」
「今も昔も消費の主役は女性だろう」
「確かに、その通りでございます」
「音楽も今までの重厚な感じではなく明るめにだ。一応、皇室主宰だからな。軽すぎても困るが、重すぎてもダメだ」
「う〜む」
「料理もお菓子を主題とする。平民でも手が出るようなものが良い。所詮お菓子だからな。多少懐に痛くても、出せないって程でもない金額だ」
「なるほど。ところで、皇太子殿下のお好みは?」
むむ。確かに皇太子殿下の好みは気になる。
アンネローゼの耳が
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