第三十七話 俺って役に立つだろう
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しれません」
また呻き声が聞こえた。そろそろ限界だろうな、もう一押しだ。
「今からでも遅くはありません、大人しく降伏したほうが良いでしょう。降伏すれば殺しはしません。リヒテンラーデ侯に頼んで生きて行くのに困らないだけの財産を貰えるように口添えしてあげます。命は一つしか有りませんから良く考えて行動してください。平民の口添えなど要らないなどと無意味に強がる事はありませんよ、子供じゃないんですから」
スクリーンから怒号と悲鳴が聞こえたが無視して通信を切らせた。
「なかなか辛辣ですな」
苦笑を浮かべながらメックリンガーが問い掛けてきた。司令部の参謀達も苦笑を浮かべている。笑っていないのはラインハルトとキルヒアイスだけだ。まあ挑発されて暴発するとかこの二人には笑えんよな。もうちょっとで暴発しかかったんだから。
「堪え性の無い貴族達です、必ず出撃してくるでしょう」
メックリンガーが頷いた。笑みは消えている。
「最前線にはワーレン、ルックナー中将がいます。接触するのは早くて十日後と思われます」
連中が遮二無二出撃してくれば十日後だろう、だが要塞付近でこちらを待ち受けてだともう少しかかる。二週間では無理だが三週間はかからないはずだ。
「二人には作戦会議で説明したとおりに動くようにと伝えてください。他の艦隊司令官にも手筈を間違うなと」
「はっ」
まあこっちはこれで何とかなるだろう。問題は辺境星域だな、メルカッツ達が上手くやってくれればいいんだが……。
帝国暦 488年 7月 12日 帝国軍総旗艦 ブリュンヒルト エルネスト・メックリンガー
艦橋には微かに緊張が漂っている。予定では今日、貴族連合軍とこちらの先鋒部隊二個艦隊が接触する。おそらく向こうも全軍では有るまい、精々三個艦隊か四個艦隊か……。参謀達は落ち着か無げだがヴァレンシュタイン司令長官はいつも通りの平静さを保っている。
今回は前哨戦、決戦はまだ先だ、今から焦ることは無い。参謀達も少しは司令長官を見習えば良いのだが……。まあそうは言っても昨日からはタンクベッド睡眠で貴族連合軍の敵襲に備える事になった、緊張するなと言う方が無理なのかもしれない……。
接触した場合は敗走するかのように後退する事が命じられている。貴族連合軍を驕慢ならしめるためだ。二度、三度と繰り返せば慢心した貴族連合軍は全軍を上げてガイエスブルク要塞から出てくるだろう。その時が勝負になる、今日が前哨戦と言うのはそういう意味だ。ワーレン、ルックナー艦隊が貴族連合軍を引き付け残りの艦隊が作成した縦深陣奥深くまで引き摺り込む。そして貴族連合軍を側面から寸断して撃破する……。
ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が出撃してきた時、その時が全軍で動く時になる。一気に貴族連合軍
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