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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
八十七話:兄弟の再会
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んだ、魔物が悪いのです。私にとっても、父の弔いになることです。差し支えなければ事情を聞かせていただき、協力させてください」

 蘇生する気満々なのに、弔うも無いもんだけどね!

 と、デールくんが目を(みは)り、顔がどんどん赤く。

 そして何故か横目でヘンリーの様子を窺います。

「……兄上」
「……手、出すなよ」
「…………はい…………」

 ヘンリーが十年ぶりに再会した弟を威圧し、デールくんがガックリと項垂れます。

 ……そんなところにまで、保護者ぶりを発揮しなくても。

 私はラインハット王妃なんかになるわけにはいかないし、デールくんだって若いイケメンの王様なんだから、さぞおモテになるでしょうに。

 何も、起こりようが無いのに。
 ニコポは、もう仕方ないよ。
 ヘンリーだって、なってたくらいなんだから。

「……失礼しました、ドーラさん。そう言って頂けるなら、お話しします。貴女には、聞く権利のあることですから」

 一応立ち直ったデールくんが、微妙に目を逸らしながら話を続けてくれます。

 ヘンリーに耐性が付いてしまった今、好ましいイケメンにこんな反応をされると、ちょっと遊びたくなってしまうわけですが。
 そんな場合では無いので、我慢しよう。

 遊び心を抑えて神妙な顔で頷く私から、デールくんが再びヘンリーに向き直ります。

「……母上は。僕と、この国を守るために。泥を被っておられます。魔物が入り込み、国を食い物にしようとするのを。魔物に取り入り、(くみ)する形で、国民への被害が最小限となるように努めておられます。いつか、魔物を排除できた日のために。全ては自分が魔物と通じて行ったこととして収めるために、僕を魔物と政務から遠ざけて、全てを背負っておられます」
「……やはり、そうか。……義母上が、そう仰ったのか?」
「いえ。そのことは、何も。ただ、未来を担う国王としての、義務を果たせと」

 唇を噛み締め、俯くデールくん。

 来るかもわからない助けが来るまで、一人で戦う母。
 母の苦労を無駄にしないため、王族としての義務を果たすため。距離を置いて見ているしか無かった自分。
 自力で魔物を排除できず、ただ、機会を。或いは助けを待つしかない無力感。

 そんなものを、本当に十六歳のこの子が、ずっと背負ってたんだ。
 九年前に王位に就いたっていうんだから、もしかしたらその間、ずっと。

 ヘンリーがデールくんに歩み寄り、抱き締めます。

「……今まで、よく頑張ったな。魔物のことは、任せろ」
「……兄上……」

 ……席。外したほうが、いいかな?

 仲間たちに目配せして静かに下がろうとした私を、デールくんが呼び止めます。

「……ドーラさん。大丈
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