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とある星の力を使いし者
第89話
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らす。
麻生達が入ってきた扉の真正面には同じ鉄の扉があり、その五メートル上にはガラスが張られていてそこには警備員(アンチスキル)と似たような黒を基調にした正規装備で身を固めた男が一人立っていた。
その横には白衣を羽織り下にはカッターシャツを着て、下には黒のズボンを着た研究者らしき人物が一人立っていた。

「ようこそ、暗部の組織の人間よ。」

警備員(アンチスキル)のような装備をしている男がマイク放送で話しているのか、部屋中に響き渡る。

「君達が此処に来ることは分かっていた。
 もちろん、君達の他にもう一つの暗部が別の施設に向かっている事もね。」

「余裕ですね。
 こうして自分達の前に姿を現していいのですか?」

海原は結標に視線を送る。
その意図が分かったのか、小さく頷くと結標は持っている懐中電灯を男の方に向ける。

「知っているさ、結標淡希。
 能力名は「座標移動(ムーブポイント)」。
 自身から離れた二地点間を直接移動させることすらできるから、その場にいる二人をこちらに空間移動でき、さらには他の物質を私達の身体に空間移動させて即死させる事もできる。」

おそらく結標の能力を詳しく知っているのは研究者から貰った情報のおかげだろう。
その言葉を聞いて海原は疑問に思った。
そこまで分かっていてなぜ、自分達の姿をさらけ出したのかを。
すると、男の方はニヤリと笑みを浮かべて言った。

「私達が何の対策もなしで君達の前に姿を現したと思っているのか?」

その瞬間だった。
突然、結標のこめかみに鋭い痛みを感じ、思わず片手をこめかみに押えてしまう。
その結標の突然の行動に海原は眉をひそめる。

「この研究者と手を組んだのはこの為だよ。」

海原は自分や麻生には全く異変はないのに、結標だけ苦しんでいるのを見て何が起こっているのか理解した。

「AIMジャマーですか。
 ですが、あれには相当な設備が必要なはず。」

「確かにそうだな。」

隣にいる研究者が海原の疑問に答える。

「私達の研究はそこだよ。
 如何にしてAIMジャマーを最小限小さくしつつかつ能力は劣化させない。
 これを目標に我々は日々研究してきた。
 そして、結果がこれだよ。」

その言葉と同時に目の前の鉄の扉が開かれる。
そこには防具服など装備とマシンガンのような拳銃で固めた十五と、その後ろには登山リュックを背負った五人がやってきた。
その登山リュックからは二本のアンテナが伸びている。

「これが私達の長年の成果だ。
 あれだけ最小限に留め、かつ能力は第一〇学区で設備されているAIMジャマーをはるかに凌駕する。
 これさえあれば如何に超能力者(レベル5)と言えどまともに能力は使えない。」


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