暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
1弾 空から女の子が
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』とか『いつから俺とお前は仲間になったんだ?』とか、色々言いたいことはあるが、今は黙っておこう。

 女の子が、気流をとらえてフワッと上昇する。

 華麗なパラグライダー(さば)きに、(おれ)はおもわずその光景を見上げてしまう。

 なんて運動神経だ。でもスパッツぐらいはけ、とは思う。まあ一瞬で飛んでったから、何も見えやしなかったけど。

 ていうか――――今の言いぐさ。

 『いくわよ!』って、もしかしなくてもアイツ、俺を助ける気なんだろうなあ。

 でも、いったいどうやって?

 少女はグラウンドの対角線上めがけて再び急降下し、こっちへ向けて鋭くUターンする。

 そして――――ぶらん。

 さっきまで手で引いていたブレークコードのハンドルにつま先を突っ込み、(さか)()りの姿勢になった。

 そのまま、物凄(ものすご)いスピードでまっすぐ飛んでくる。

 都合、俺はアイツに向かって走る形になった。

「おいおい――――マジかよ……!」

 相手の意図が分かって、俺は青くなる。

 こっちが気づいたことに気づいたらしく、少女は、

「ほらバカっ! 全力でこぐっ!」

 大声で命令しつつ、逆さ吊りのまま両手を十字架みたいに広げた。

 ――――バカはそっちだろっ!

 そんな助け方があるか!

 でもまあ、(ほか)に方法も――――あることにはあるが、できればやりたくないしな――――ねえし、やるしかない、のか!

 俺はもうヤケクソで、チャリをこぐ。

 こぐ。こぐ。こぐ! 全力で!

 俺はアイツに、アイツは俺に近づいていく。

 二人の距離はみるみる縮まっていく。

 ああ、昨日見たアニメに、こんなシーンがあったな。

 ――――でもあれ、男と女が逆じゃなかったかな!?

 そう自分にツッコんだ瞬間――――上下互い違いのまま、俺は少女と抱き合った。

 そしてそのまま、空へさらわれる。

 息苦しいくらいに顔が押しつけられた少女の下っ腹からは、クチナシの(つぼみ)のような、甘酸っぱい香りがして――――

 ドガアアアアアアアアアンッッッ!!!

 閃光(せんこう)轟音(ごうおん)、続けて爆風。

 (おれ)が乗り捨てたチャリが、()端微塵(ぱみじん)に爆発したのだ。

 あの爆弾は、やはり本物だった――――!

 熱風に吹っ飛ばされながら、俺たちは――――引っかかった桜の木にパラグライダーをもぎ取られ、グラウンドの片隅(かたすみ)にあった体育倉庫の扉に突っ込んでいった。

 がらがらと音を上げ、何にぶつかったのかも分からず……

 俺の意識は、一瞬、途切れた。
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