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どっかの分隊長
安息とはいったい何か
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とりあえず肯定したら、ますます笑みが深くなった、司令官。本気で意味が分からない。

「どうじゃ、うまくいきそうか?」
「…あ、あぁ…?」

分からん。本当に何を言ってるんだ、この司令官。

「くっくっく。ま、せいぜい大事にしておくんじゃな。」

え゛、小指を?そりゃあ自分の身体の部位だし大事にするけど、何故小指だけをピックアップ。

「お前さんの立場からしても色々大変じゃろうが…。変な間違いをおこすでないぞ。」
「はぁ…。」

変な間違い?小指と?…どんな場面になったらそんな事がおこりえるのか少なからず疑問である。

「そして、小うるさいかもしれんが、最後に。」

ポンっと、彼は俺の胸にしっかり握られた拳をあてられる。そして、グッと押し付けられ、ピクシスは鋭い目を開いた。

「…死んでも、守れ。」


…………だから、小指を?




「ーーーーーー!!」
「ーーーーーー!?」
「−−−−−−。」
「−−−−−−−−−−、−−!」

「「はっはっはっはっは!!!」」

それから色々たくさんの会話をし、司令官は中々ユーモアな方だと分かった。今考えれば、小指を死んでも守れだなんて、気の利いたジョークだ。センスは少しずれているが、それはそれで面白く感じる。

「ふわぁーあ…。おーい、坊主。爺さん。もうそろそろ朝になるから、出て行ってくれ。」

店主が眠そうに半目をあけて言った。あれから数刻はたっている。どうやら俺たちが盛り上がってるのを良い事に、少し寝ていたらしい。

「む、もうそんな時間になるか。悪かったの、こんな時間まで。」
「感謝する…が、客に水を出すな。」
「ありゃ、坊主だけの特別せいだ。ほら、クレームつけずにさっさと早く出てけ。」

店主のシッシという合図にともない、のれんをくぐり外に出て行く。秋の涼しい風が、(気分だけ)酔って火照った頬を、徐々に冷やしてくれる。これが、酒を飲んだ後の最後の楽しみといった所か。この時ばかりは少しだけ、いつもと違う風景に見えるのだ。

俺達は家に向かって歩き始めた。俺はピクシスの少し後ろをついて歩く。しばらく無言と豪快に酒を飲む音が続いたが、やがてピクシスが前を向いたまま話し始める。

「ほっほっほ、久しぶりに面白い夜を過ごせた。また、時々付き合ってくれんか。」

ニッと笑い、ビンに入っている緑の酒をあおるピクシス。あえて何も言わないが、飲みすぎだ。

「それは、良かった。俺で良かったら何度でも付き合おう。」

もう店主の前ではないから敬語を使うべきか悩んだが、何となく元の口調には戻さないで返してみた。彼もそれを気にした様子もなく、ただ愉快そうに鼻歌を歌っていたので駄目ってわけではないのだろう。
それにしても
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