クトゥグアとの戦い U
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チート。
『誤魔化し』、『不正行為』などの意味で、主にネットゲームや家庭用ゲームで用いられる単語である。
プログラム自体を自分の思い通りに変えてしまうことで、製作者の意図しない攻略を行う。レベル上げ、ステータス改竄、アイテム無限、道中の攻略無視など、様々な現象を起こすそれは、ゲーム運営側からは『チート・コード』とも呼ばれ、粛清の対象にもなるほど苛立たしい代物だ。
・・・彼らが怒るのも当然だろう。自分たちが長い時間をかけて作った物が、自分たちの手を離れてしまうのだから。
鈴蘭にそんな名前を付けられた、護堂の始まりの権能【チート・コード】。後に、賢人議会によって正式に【ステータス改竄】と名付けられるこの権能は、能力はたった一つで単純明快でも、出来ることは無限にあるという、ある意味では鈴蘭の【無限なるもの】と同種の権能であった。
『この程度の男だったか・・・。』
必殺とも呼べる蒼炎の攻撃は、地形を大きく変化させていた。
エトナ火山の斜面は蒼炎によって溶かされ抉られた。大きな半円形の溝が山の斜面を抉り、その傷跡は遥か下の地面すらも貫いていた。何キロ続いているのかも分からないその溝に、今までの戦いで生み出された大量の溶岩が流れ込んでいる。
『・・・後は、現世にてあの女の神殺しも倒せば・・・』
クトゥグアが、敗者には用はないとばかりにその場を去ろうとした、その瞬間。
ボコ!
彼女の足元。今までの攻撃と、彼女自身の熱によって溶けた溶岩が大きく隆起した。驚く彼女の足に、人の手が捕まる。
言うまでもない。護堂の腕である。
『何だと!?』
「やっと捕まえたぞクトゥグア!!!」
クトゥグアは油断して気を抜いていた。神殺しであろうと、所詮は人間だと甘く見ていた。
彼女は、この山を破壊し尽くしてでも、追撃をするべきだった。『絶対に防げない』攻撃など存在しないのだ。
カンピオーネは常識では測れない。ある意味では、まつろわぬ神よりも理不尽な存在なのだから、キッチリと護堂の死を確認するまで気を抜くべきではなかった。
もし彼女が追撃をしていたなら、今度こそ護堂は死んでいたかも知れないのに。
溶岩から飛び出した護堂は、全身に酷い火傷を負っていた。だが、神々とカンピオーネの基準で言えば、まだまだ軽傷と呼べる程度の傷である。クトゥグアの蒼炎をまともに受けて、たったそれだけの怪我しかしていなかったのだ!
「『耐火』削除、『剛力』装填・・・!・・・吹き飛べ!!!」
飛び上がった彼は叫ぶと同時に、クトゥグアを全力で殴った。灼熱の体を殴った護堂の右腕が、一瞬にして炭化する。
「ぐ、あああああああああああああ
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