クトゥグアとの戦い U
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トである。
この剣は、炎の精の炎で鍛え、刀身に炎の精を封印した片刃の剣である。象牙の柄があるが、鍔はない。この剣は、『あらゆる可燃物に刀身で触れるだけで燃え上がらせることができ、また不燃物であっても焦げ付かせることができる』という、非常に凶悪な能力を持っている。
・・・ただ、クトゥルフ神話において、邪神や旧支配者たちの武具が『ただ強いだけ』な訳が無く、強力な効果に見合った、極悪なデメリットが存在する。
それが、『使う度に炎の精に近づく』というものである。この剣を使う者は、振るうたびに正気を少しずつ喪失していく。そして、正気が完全に失われた時に、使用者の身を焼き滅ぼし炎の精へと転生させ、未来永劫クトゥグアに仕えさせる。
そんな狂気の武器に深手を負わされ、想像を絶する激痛に叫ぶ護堂。しかし、この間にも彼女たちの攻撃は休まらない。痛みに呻いている暇などないのだ。
(だ、ダメだ!物理攻撃まで出してきた以上、防戦一方なのはマズイ!!!)
護堂の権能は、一対一ならばかなり有利に戦えるが、今回のように敵が複数になると、途端に使い勝手が悪くなる権能だ。どれに対処するのか、その選択を強いられるからである。
今の状況は非常に危険。そう判断した彼は、状況を打開すべく、強引な手段に訴える事にした。
「『耐火』削除、『神速』装填!!!」
その瞬間、護堂以外の全てが停止した。
護堂が、神速を発動したのである。彼は迫り来る蒼炎とコルヴァズの剣を交わし、一直線にクトゥグアへと走り寄った!
クトゥグアは闘神ではない。当然、心眼など会得している訳がなかった。伸びた時間の中でクトゥグアの数メートル手前まで走った彼は、神速を解除する。神速は、早すぎて正確な制御が出来ないのである。
「ゴ、フ・・・ッ!」
途端、今までの怪我と、神速が体へ掛ける負担により吐血する護堂。しかし、彼は止まらなかった。
『な、に・・・!?』
突如として目の前に現れた護堂に、言葉を失うクトゥグア。一瞬の後、その驚きを振り払って迎撃しようとしたが・・・その一瞬は、彼らの戦いでは非常に大きな隙となる。
「オオオオオオオオオオ!『氷結』装填!!喰らいやがれクトゥグア!!!」
護堂の振りかぶった拳が、突如として凍った。・・・否、氷の鎧を纏った。精緻な細工のガントレット。それからは恐ろしい程の呪力が迸り、これが権能によって作られたのだと言うことを如実に示していた。
対するクトゥグアは、二重の驚きによって完全に動きが止まっていた。先ほどからコロコロと変わる護堂の力
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