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生きるために
第二話 方程式の解
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った。

はて? どうして自分は全部のビルに罠を仕掛けなくてもいいと思ったのだろうか。

確かに、箱庭みたいな路地裏で地上からの出入りは一つしかないが自分みたいな空戦が出来る人間がいるのだから、空からなら入り口など関係ない。
それこそ、あらゆる方角からこの閉じた箱庭に入ることが出来る。
なのに、どうして自分はビルの入り口側のビルだけを見て罠はここだけ有れば十分などという思考が生まれたのだと下の光景を俯瞰しつつ思い───気づいた。

「──あ」

気づいた時には遅かった。
視界を横切った一瞬の光。自然界には存在しない黒い光に一瞬で意識を剥奪される未来を幻視する。
その刹那の単位で思わず愚痴った。

どんな怪物が相手なんだ……!

恐らくだが、もう一組も死んでいるだろう。
そして、恐らく全員が驚きの思考のまま倒れたに違いない。何せ見透かされ過ぎだ(・・・・・・・・)
こちらの二手、三手所か二十以上読まれている。
自分達が訓練でこの場所に慣れていること。
狙撃による自分達の対応。
この訓練における自分達の心理。
それら纏めて全て読まれていると思われる。神の見えざる手という言葉があるが、実際を見ればこんなの怪物の手の平で踊っている気分にしかなれない。
間違いなく、相手は怪物だ。敵対者を屠ることに特化した存在だ。
能力がおかしいのではなく、その思考形態がおかしい。
こんな敵対者を壊すという単一機能を持っている存在が、自分達と同じ人間であるというのがおかしいと。そして、アドレナリンで遅くなった時間が現実に追いつき、着弾。






「まぁ、意外と久しぶりの狙撃もやれば出来るものだな」

『御冗談を。鈍っているような感覚があれば私がこの作戦を拒否しますよ』

さよか、と適当に答えて立ち上がる。
狙撃モードに変えての砲撃だったので、巨大十字架であったハティも多少大きさは小さくなったがそれでも普通のスナイパーライフルと比べたら規格外の大きさである。
そもそも狙撃の為のデバイスではないので、このモードも普段ならあんまり使わない形態なのだ。
自分のレンジは中距離からなのだから。
ただ出来ないわけではないのでやっただけである。そして撃っただけである。
狙って撃つなどとよく言うが、狙撃に関しては自分は基本、当ててやるではなく当たるから撃つという感覚なので、あんまり細かいことは気にしていない。
要は当たればいいのである当たれば。

『そろそろジャミングを解きますか?』

「ああ。と言っても解かなくても残りの奴らも流石に気付いていると思うが……お。来てる来てる」

アタッチメントのスコープをハティから外して残りの二人がこちらに詰め寄ってきているのが見えている。
と言ってもチラ見だから流
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