暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-44濡れ衣を着せられて
[1/6]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
牢屋のある地下から出てきたところでシスターに行き合い、涙ながらに詰め寄られる。
「……あなたたちは!……どうか!どうか、返してください!あのブロンズの十字架は、全てを捧げて神の教えを説いてきた私の働きを、女王様が認めてくださって。その
証
(
あかし
)
として与えられた、私の宝物なのです!」
切々と訴えるシスターに、一行は困惑して顔を見合わせる。
「あら、あら。困ったわねえ。」
「私たちでは無いと、言い返すのは簡単ですが。余程大切な物で、心の支えでもあったのでしょうね」
トルネコとクリフトが小声で言い合い、少女がシスターに歩み寄る。
「……わたしたち。盗ってない。あなたの大切な物を、もしも持ってたら。返したいけど。でも、持ってないの」
真っ直ぐに、悲しそうな瞳で話す少女の様子に、シスターが怯む。
「うっ……。こ、こんな子供を使って、罪を誤魔化そうとするとは!卑怯ですわ!」
「みんなは、そんなことしない」
「ユウ」
ミネアが少女の肩に、宥めるように手を添える。
「いいんですよ。状況と、彼女の気持ちを思えば仕方のないことです。シスター、申し訳ありません。知らぬこととは言え疑いを招くような状況を作り、あなたに疑心を抱かせてしまったのは、確かに私たちの責任です。罪が晴れるまで、疑いは疑いのままで構いませんが。ここは、引いて頂けないでしょうか」
美貌の青年に穏やかに語りかけられ、シスターの頬が赤らむ。
「そ……それは……。私とて、何も罪を糾弾したいというわけでは……。でも、そんな、当然濡れ衣のような……それではまるで、私が……」
視線を僅かに下げ、言い淀むシスターに、ライアンが歩み寄る。
「ことの真偽は、いずれ明白になるでしょう。被害者たる貴女が、そのことにお心を煩わせる必要はありません。貴女が我々を疑われようと、信じてくださろうとも。どちらにしても、貴女の宝はきっと、貴女の手元にお返しします。どうか、今暫く。お待ち頂きたい」
至近距離で凛々しい麗人に真摯に訴えられ、シスターは一気に血が上ったように真っ赤になる。
「……わかりました!十字架さえお返しいただければ、何がどうでも、問題ありませんから!お待ちしております!」
焦ったように早口で言い放ち、踵を返してシスターが走り去る。
その背中を見送り、ライアンが呟く。
「はて。何か、不味いことを言っただろうか」
「……どうして、そう思うんですか?」
「どうも、怒らせてしまったようなので」
「……あれが、怒ったように見えるんですね……」
「違うのか」
「明らかに違いますが、説明が必要でしょうか」
「いや。今はそれどころではあるまい」
「そうですね」
ライアンの呟きにミネアが返して話を
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ