第三十六話 来たよ、来た来た、ようやく来た
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そう言うとワーレンは敬礼をして来た、こちらも敬礼を返してから通信を切った。良いよな、地味な仕事でもきちんとこなしてくれる男は。
「総参謀長」
「はっ」
「あの艦隊がガイエスブルク要塞に戻るのは何時頃と思いますか?」
「さて、ざっと十日というところでしょうか」
「十日ですか」
十日か、だとするとシャンタウ星域の攻略は終わっているな。
「トラーバッハへの攻略のために一隊を回すのを止めてガイエスブルク要塞の攻略に全力を注ごうかと思うのですが総参謀長の考えは?」
俺が問い掛けるとメックリンガーがちょっと考えた。参謀連中は皆固唾をのんでメックリンガーを見ている。
「宜しいのではないでしょうか、幸い貴族連合軍は動きを見せております。それに辺境星域の事を考えますと周辺宙域を攻略するよりも一気に貴族連合軍の本拠地を叩いた方が得策だと思います」
方針変更、貴族連合軍の本拠地を攻略。メックリンガーの言葉に艦橋がざわめいた。
「ではシャンタウ星域の攻略が終了した時点で一度作戦会議を開きましょう。全軍にそれを通達してください」
「承知しました」
さて、俺はあの馬鹿共を挑発する言葉でも考えておくか……。
宇宙暦797年 6月 25日 イゼルローン要塞 ウランフ
「ようこそ、イゼルローン要塞へ。御二方とも始めてでしょう」
「まあ、確かに」
「そうですな」
イゼルローン要塞のメインポートまで出迎えたがカールセン提督、ルグランジュ提督とも何処か余所余所しかった。
その後も司令室に案内するまで時折話しかけたが二人とも口数が少なく余り話そうとしない。自然と会話は途絶え殆ど話す事無く司令室に着いた。一体どういう事か……。司令室に着くとルグランジュ提督が話し始めた。
「今後の作戦についてはカールセン提督とは打ち合わせを済ませております」
「そうですか」
カールセン提督に視線を向けたが特に反応は無い。
「出来るだけイゼルローン要塞駐留艦隊には迷惑をかけないようにするつもりです」
「御配慮、痛み入ります」
「では」
え、と思ったがルグランジュ提督は私とカールセン提督をその場に残して司令室を出て行った。
呆然としていると溜息を吐く音が聞こえた。カールセン提督が首を振っている。
「カールセン提督?」
「いや、失礼」
「一体何が?」
「まあ、面白くないのでしょうな」
「はあ?」
カールセン提督が笑い出した。
「面白く無いのですよ、全てが」
「……全てが、ですか」
よく分からない、全てが面白く無いとはどういうことなのか。私が困惑しているとカールセン提督が更に笑った。
「先ず兵卒上がりの私と一緒に軍事行動を起こすというのが気に入らない」
「……馬鹿げていますな、ビュコック
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