第八章
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第八章
「有り難いことよ」
「有り難いというのか」
「ええ、有り難いわ」
その微笑みは清らかである。しかしそこから発せられるものは不気味なものである。笑顔とそこから発せられるものは全く別であった。
「三人。楽しみだわ」
「生憎だけれどな」
本郷は刀を構えたまま話す。
「俺もそう簡単にはだ」
「倒されないというのかしら」
「その通りだ。倒されるのは手前だ」
「そういうことだ」
次に出て来たのは役だった。
「我々は貴様を倒す」
彼はその右手を自分のコートの懐に入れていた。
「これ以上の殺人はさせるわけにはいかない」
「死の妖精である私に殺すことを止めさせるのね」
「そうよ」
アンジェレッタも言ってきた。
「貴女にとっては不本意でしょうけれど」
「生憎だけれど私はやられないわ」
美女はハープを手にしたままさらに言ってきた。
「残念なのはそちらよ」
「私達だというのね」
「私にとって人は」
その言葉は。
「殺すものなのだから」
「つまりあれだな」
本郷は今の美女の言葉を聞いて述べた。
「俺達は手前にとっては食い物みたいなものなんだな」
「私は何も食べる必要はないけれどね」
「そうだな。ステーキみたいなものだな」
本郷はこう返した。
「そういうことだな」
「おかしな例えだけれどそうなるわね」
美女も笑ってそれは否定しなかった。本郷の今の言葉はだ。
「食べるわけではないにしても」
「ただしな」
だがここで彼は言った。
「牛は人を殺すことができるってのを忘れるな」
「食べられる存在でもなのね」
「そして俺達は牛じゃねえ」
今度はこのことも否定したのだった。
「ライオンに思んだな」
「あら、大きく出たわね」
「ライオンは食われはしねえ」
刀を構えたままの言葉だった。
「それは言っておくからな」
「話は聞いたわ」
ただし聞いただけである。
「それじゃあ」
「行くぜ」
「本郷君」
役は本郷の右隣にいた。そこから彼に対して言ってきたのである。
「いいな」
「ええ、俺が突っ込みます」
「頼んだぞ。この相手はかなりの手強さだ」
「俺はまずは」
本郷はここで刀以外のものも出してきた。その手に手裏剣を見せている。
その苦無型のそれを数本右手に持ちながらだ。彼は今度はアンジェレッタに対して言ってきたのだった。
「それでアンジェレッタさんだったよな」
「はい」
「あんたの術は何なんだ?」
「私はこれです」
既にその左手に水晶球が浮かんでいる。
「これを使います」
「そうか。それだったらな」
「貴方が前に出られて」
「後ろは頼むな」
前にいる美女を見たままの言葉だった。
「そっちはな」
「はい、それでは」
「
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