暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
序弾 プロローグ
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違反で内申点が下がっても困るし、武装ぐらいしてくか。

「分かった分かった。ほら、これで安心だろ。だから泣くなって」

 俺は溜息(ためいき)をつき、ナイフも――――親友の形見の、バタフライ・ナイフだ――――棚から出して、ポケットに収める。

 白雪はなんでかそんな俺をうっとりと眺め、ほっぺに手をあてていた。

「……ミズキくん。かっこいい。さすが、強襲科(アサルト)のAランク武偵だね」

「やめてくれ――――昔のことだし、今は強襲科(アサルト)じゃなくて装備科(アムド)なんだから」

 吐き捨てるように言う俺の胸に、白雪はるんるんと、どこからか取り出した黒い名札をつけてきた。

 『薬師丸(やくしまる)ミズキ』

 武偵校(ぶていこう)では、4月には生徒全員が名札を付けるルールがある。

 (おれ)はスルーするつもりだったんだが、白雪(しらゆき)はそれを先読みして用意していたらしい。

 さすがは生徒会長で園芸部長で手芸部長で女子バレー部長で偏差値75の超人的しっかり者だな。というか、肩書(かたが)き多すぎないか。

「……俺はメールをチェックしてから出るから、お前は先に行っててくれ」

「あっ、じゃあ、その間にお洗濯とかお皿洗いとか――――」

「いいから。早く行けって」

「……は、はい。じゃあ……その。後でメールとか……くれると、(うれ)しいですっ」

 白雪はもじもじとそんなことを言い、ぺこり。

 深ぁーくお辞儀(じぎ)をしてから、従順に部屋を出て行った。

 ……ふう。

 やっと一息つけるな。

 どっかりとPCの前に座り、だらだら……と、メールやWebを見る。

 だらだら、だらだら……としていたら、時刻はいつの間にか7時55分になっていた。

 しまった。ちょっとだらだらしすぎたか。

 ――――58分のバスには乗り遅れたな。



 この時の俺はそんな風にしか思っていなかった。

 この7時58分のバスに乗り遅れることで、いったい自分がどうなるのかも知らずに。

 空から女の子が降ってくる。

 物語の導入(どうにゅう)としてはとてもいい、定番のイベント。

 そして、俺にもそんなイベントが起きる。起きてしまう。

 平穏(へいおん)な日常は終わりを()げ、殺伐(さつばつ)とした非日常が帰ってくる。

 空から女の子が降ってくる。

 神崎(かんざき)・H・アリアが。
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