拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 劉備 (桃色) 「我愛?」
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ことだ。
ガキくさい考えだった。
(……この違和感を違和感でなくすために、平和な国を作りたいだなんて)
俺が俺のために。
俺が、違和感を感じなくて済むように。
平和な……日本のような場所を作りたかっただけなのだ。
(甘い幻想、甘い夢……荒唐無稽な夢物語。わかっている……いや、わかっていた、はず。でも……出来てきちゃったじゃないか)
今の漢中、その現状は……俺が指示した成果。
俺はただ……指示しただけだった。
にも拘らず……まさか、こんなにもうまくいくとは思っていなかった。
ここは、朱里や雛里、桃香たちが懸命にその夢を形にしてくれた場所。
ここが俺の……理想郷。
(俺は……また桃香に、多大な恩を受けたんだな)
その事実に気づいて、桃香の手の温もりが、不意にとてつもなく愛おしく感じる。
この手が、俺と一刀を救ってくれた。
この手が、俺にかけがえのない臣をくれた。
この手が……俺の夢を、形にしてくれた。
(……俺は、桃香に何を返したらいいのだろう)
蜀王として、曹操に負けない陣営にすることが、恩を返すことだと思っていた。
だが、本当に……それだけでいいのだろうか?
(俺が為すべきことは――)
「ここだよ、ご主人様っ!」
不意に桃香が振り返る。
その笑顔に――胸の高鳴りが跳ね上がる。
「? どうしたの、ご主人様?」
桃香が、手を握ったまま首を傾げる。
その姿に、昨日まで感じなかった感情が溢れて……桃香を抱き寄せ――
「あ、きたのだ。お兄ちゃん、こっちこっちー!」
……はっ!?
お、俺、今なにしようとした!?
危うく手を引っ張り、桃香を抱きしめようとしていた事に驚愕する。
「あ、鈴々ちゃーん。おまたせー!」
ぱっと離れた、桃香の手。
その手にどこか寂しく、どこか安心したような――そんな複雑な思いのまま。
俺は、自分の手を見つめていた。
―― 劉備 side ――
ふわー……どっきどきしたよー。
ご主人様の手って、暖かいんだ……
「にゃ? お姉ちゃん、ちょっと顔が赤いのだ。どうしたのだ?」
「え? な、なにが? なんでもないよ?」
慌てて自分の頬をぱしぱし叩いてごまかす。
まさか鈴々ちゃんに、『ご主人様と手をつないじゃった』なんて言えないよね。
はあ……思わず勢いで手を握っちゃったけど、変じゃなかったかな?
ちらっとご主人様を見ると、自分の手をじっと見ている。
あれ……も、もしかして、手に汗が付いちゃった?
いやー!
「鈴々、桃香様は……桃香様、なにを悶えておい
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