決着
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ン艦隊1,951隻
そして。
コーネリア艦隊 470隻、ジェイガン艦隊2,000隻(全滅)
「あ――」
テイスティアが呟いた、その肩をぎゅっと握られた。
振り返った先で、形だけ笑顔を作るコーネリアがいる。
「まさか、私を忘れていたってわけじゃないわよね?」
忘れていた。
と、誰も言えずに、慌てて視線をそらして、モニターに目を向ければ、間違いない。
本隊同士の戦いでは、ヤン艦隊が優勢であった。
およそは1,500隻ほどであろうか――ぎりぎり負けたと表現した結果がそこにある。
だが――。
「すみません」
謝罪の言葉が、遠くから聞こえた。
ヤンを中心にするチームの中で、一人大きく頭を下げている。
その様子に、ヤンはゆっくりと首を振っていた。
「いや、もともと偽装艦を主体としていたんだ。この結果は仕方がない。原因を探すとすれば、最初に攻めきれなかった私のせいだ」
それでも謝り続ける三学年の生徒。
彼が全滅をしたことで、戦いの結果は逆転していた。
そこまでを理解して、ようやくワイドボーンは拳を握った。
「う、うおおおおおっ!」
獣の様な咆哮をあがる。
声をあげようとしていたワイドボーンが驚いて隣を見た。
ローバイクだ。
柄にもなく拳を握って、喜びを表現していた。
肩を掴まれたコーネリアをテイスティアが抱きしめる。
「ちょ、ちょっと」
困った声をあげながら、しかし、コーネリアも嬉しそうに微笑んだ。
そして。
ガシャンと自動販売機から、アイスコーヒーを取り出しながら、アレスは一人輪から外れる。
まるで葬式会場の敵チームと、結婚式会場の様な味方チーム。
その対照的な姿に、小さく笑い――一口。
「にがっ」
呟いて、疲れたと壁に肩を預ける。
戦い前の高揚感はどこへやら、今すぐにでも布団にもぐりたい気分だ。
一方のヤンチームが、泣きだした三学年の生徒を慰めながら、ゆっくりと戦場を後にする。
と。
ヤン・ウェンリーの視線が、アレスに向いた。
視線があう中で、言葉はない。
無造作な黒髪の、冴えた姿を見せない顔立ち。
それがゆっくりと笑み、頭を下げて――退場していった。
悔しいのだろうか。
そんな表情を一切見せないで、すぐに視線を戻すと視界の端から消えていく。
英雄か。
結果として勝つ事はできた。
しかし、艦隊同士の戦いではとても勝てたと言えない。
ワイドボーンが、ローバイクが、テイスティアが――そして、コーネリアがいたからこその勝利だ。
五人そろってようやくぎりぎり勝てるなど、化け物もいいところだ。
まだまだだと小さく呟けば、コーヒーを握っていた手が握られた
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