暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
鈴の音
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言ってんだこいつ、という視線を送るとほぼ同時。

家全体のそこかしこから、パイプオルガンのような重厚なサウンドが大音量で響き渡った。続けて、ソフトな女性の声が空から降り注ぐ。

────本日午前四時より、定期メンテナンスが行われます。サーバーがクローズされますので、プレイヤーは早期ログアウトに努めてください。繰り返しお伝えします。本日午前四時より─────

週に一度ある、定期メンテナンスを知らせる運営アナウンスだ。

同時にレンが、小日向蓮として現実世界に帰らざるを得ない唯一の時でもある。

「ここでログアウトしたほうがいい。どの道、今の君のコンディションでサーバークローズまでに《央都》に着くのは無理だ」

シバの言葉に、レンは唇を噛む。

確かに彼女の言う通り。

今のレンの心意の源、いや生命の源たる魂は疲弊し、擦り切れている。そんな状態では、《地走り》を使ってもアルンどころかこの高原の半ばほどで力尽きることになりかねない。

プレイヤーホームの敷地内は基本的にMobの行動範囲外だ。

フィールドのど真ん中で即落ちしているよりは、ここで落ちたほうが幾分とマシというものである。

そんなことを一瞬で思考し、レンはわかった、と頷いた。

「なら先に落ちる。言っておくけど、動かない僕に何もしないでよね」

「失敬だな。私を誰だと思っている」

「………………………」

会って数十分の身分のくせに何を言っているのだろうか。

左手の人差し指を真っ直ぐ伸ばし、真下に振る。途端、軽快な効果音とともに半透明のメニューウインドウが出現した。

左に大きく表示されている現在の全身装備フィギュアを無視し、右側にズラリと並んでいるタブをスクロールして一番下に位置している《Log Out》と書かれたボタンを画面中央に持ってくる。

押すと、すぐさまフィールドでの即時ログアウトに対する危険性を記す警告メッセージとともにイエス/ノーボタンが現れる。

そのイエスのほうを押しながら、レンは傍らに立つカグラの顔を見やり、小さく頷きあった。

「おやすみなさいませ、我が主」

「うん」

そうしてレンの意識を浮遊感が包み、現実という世界の中に帰還していった。










終焉存在(マルディアグラ)》と呼ばれる少年の姿が淡い光に包まれ、その身体から力が抜けたとほぼ同時に、傍らに立っていた《炎獄(テスタロッサ)》の二つ名を持つ女性の姿が解けるように掻き消えた。

彼女の本体データはレンのナーヴギアのローカルメモリーに存在しているので、レンがALOからログアウトした場合、カグラもアルヴヘイムにはいられなくなるのだ。

力が抜けて椅子の背もたれにもたれかかっているレンの
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