第三話
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れないともったいないよ」
とりあえず、テーブルを持ってきてその上に昨日買っておいた弁当を並べ、魔術で温める。
「まあ、間違いなく神様が食べるようなものじゃないけど」
「いえ、貴方の言うとおり私は今神性を失っていますので、人の子と大差ありません。美味しくいただけるかと」
「ならよかった。じゃあ、食べようか」
二人(いや、一人と一柱か?)はそのまま食事を始め、話も再開する。
「さて、私があの場に倒れていた経緯ですが、ある神に攻撃され、限界まで弱っていたのです」
「ある神・・・それも、まつろわぬ神?」
「はい。私と同様に、神話の世界から出ることを望み、こちらの世界に出てきたものです」
この辺りには、もう一柱神が出現してるのか・・・危険地帯過ぎるだろ・・・
「そういえば、なんでアテは神話から出てきたんだ?話してる感じだと、聞いてたまつろわぬ神とは違うんだけど・・・」
「それは・・・私がどのような神か、それについては知っていますか?」
「ああ。ギリシア神話において、狂気を女神神格化した存在。一番有名な話だと、ゼウスすら狂気に取り付かせて、ゼウスにキレられて地上に落ち、人間に狂気を振りまいた」
「そう・・・私は神話の中にいる限り、それを続けなければならない。でも・・・そんなの、嫌だった」
確かに、自我を持ってしまうとつらいものがあるかもしれない。
自分のせいで神が、人が狂うのを目の前で見るのだ。本人が狂ってでもいない限り、嫌に決まってる。
「それで抜け出してきたんだ」
「はい。でも・・・結果は変わりませんでした。私が現れた地の人々は、皆狂ってしまった」
少し雰囲気が暗くなったので、このあたりで止めておこう。
「もういい。その辺りについては理解した。それで、アテを戦闘不能にした神様の名前は?」
「・・・ありがとうございます。甘えさせてもらいます」
アテは俺に頭を下げてから、質問に答えていく。
「私をこの状態にしたのは、まつろわぬゼウスです」
予想外の大物でした。
アテとは比べ物にならないくらいのネームバリューだ。
「そいつにボッコボコにされて、ダメージが大きすぎて弱った結果、神性を保てなくなったってこと?」
「はい。おかげでいまこうしていられます」
「神性がないから、ゼウスに居場所がばれずに済んでるってこと?」
「そうです。ですから、私をあの場から連れてきてくれたこと、本当にありがとうございます」
また頭を下げられた。この話を父さんにしたら卒倒するだろうな・・・母さんは「そんなことより、その子を連れてきなさい」とか言いそうだ。
「あの場所に残ってたら殺されてたってことか・・・それは連れてきてよかった。で、これからどうするの?」
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