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泥沼の花
プロローグ

まだ6月というのにここ最近暑い日が続いている。
「美奈、綺麗でしょ?来てよかったねー」
美奈は辺り一面満開のその花を前にしても浮かない表情をしていた。
「花なんかどれも一緒だよ。本当は動物園に行くはずだったのに、、、」
「お父さん出張なんだからしょうがないでしょー。そんな顔しないで!ね?」
「別に。もう慣れたよ。」
「あっ、もうこんな時間!帰らなきゃ!行くよ!」
母の大きな手が強引に美奈の袖を引っ張る。
ふと花の方へ目をやるとその花はピンク色の花びらを輝かせながら凛と咲いていた。
「この花の名前なんて読むんだろ?
、、、きれい。」

名前も知らないその花はどんな花よりも綺麗に思えた、、、


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