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ハーブ
第二十四章
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第二十四章

 報告を聞いた警部は。まずは静かに瞑目しそれから言うのだった。
「有り難うございます」
「はい」
「これで全ては終わりました」
「ハープですか」
 警部はそのハープのことも言った。
「それがなのですね」
「そうです。ハープがです」
「ハープの精ですか」
 彼はこう表現した。あの美女のことを。
「つまりは」
「ハープが死の妖精になったというのでしょうか」
 これは役の想定である。
「そういうことです」
「左様ですか。不可解な話でしたね」
「月並な言葉ですが」
 今度はこう述べた役だった。
「世の中は不可解なことに満ちています」
「それはその通りですね」
「だからです」
 これが今の彼の言葉だった。
「それでこうしたこともです」
「妖精とは不可解なものですね」
 警部は役の話を聞きながら述べた。
「全く以って」
「それで私達の仕事となるのです」
「わかりました」
 ここまで話を聞いてであった。警部ははっきりとした顔になって頷いた。
「それでは」
「はい、ではこれで」
「それでこれからどうされますか?」
 警部はあらためて三人に問うた。
「すぐに祖国に帰られますか?」
「はい、そうさせてもらいます」
「我々は」
 本郷と役はこう答えたのだった。
「全ては終わりましたから」
「日本でまた別の仕事に」
「そうですか。そしてアンジェレッタさんはバチカンにですね」
「住んでいる場所がローマですから」
 こう述べた彼女だった。
「ですから」
「すぐですか」
「ローマに着いたらすぐにその足でバチカンに向かいます」
「わかりました。では貴女もですね」
「はい、それでは」
「わかりました。では縁がありましたら」
 警部は三人の言葉を聞いてだった。静かに述べた。
「御会いしましょう」
「はい、それじゃあ」
「また」
「今度はですが」
 三人は警部の言葉に応えてそれぞれ彼に返した。
「仕事とは関係なくです」
「観光か何かで話をしたいものですね」
「確かに」
 そんな話をするのだった。仕事とは別にだというのだ。
 そしてである。それぞれ別れを告げてだ。空港に向かうのだった。
「仕事が終わればすぐにまた別の仕事ですね」
「それが世の中だ」
 今その日本に向かう旅客機に向かいながらだ。役は本郷のその言葉に応えて述べた。
「そういうものだ」
「生きている限り仕事をしろってことですか」
「そういうことだ。そしてその仕事があるからこそ」
「飯が食えるってわけですね」
「わかったら行こう」
 こう述べてであった。
「いいな、それで」
「はい、それじゃあ」
 こうして話をしてからその旅客機に乗り込む。アイルランドでの戦いを終えた二人はアンジェレ
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