2-1話
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とがない動物だった。
だるまのように境目が見えない首で、顔はずんぐりとした間抜け面――よく言えば愛嬌のある顔――だが、体格は土佐犬のようであり、そのサイズに少し呆気に取られた。
体は長毛種の犬のように腹の下と尾に体毛を蓄えており、その背はアルマジロのように丸くて斑模様をさせているという奇妙な外見。
「ミュウ…」
ミュウ、とか変な鳴き声のするそれは、小さくも細い眼で視線を地面に落としながら鼻をフンフン、とひくつかせている。
オレの事など全くに眼中になく、マイペースにのそりとした動きで四脚を進めた。
「(アレって…もしかしてビーバーって奴か? あのダムを造る動物の…)」
確証はなかった。
そもそもビーバーの正確な姿など覚えていない。
あのずんぐりむっくりとした顔に、流線滑らかな背中に尻尾…なんとなく朧気にあるビーバーのイメージと似ているような気がした。
だが……あれほど豊かな毛並みがあったのか…自信がなかった。
まぁ、そんな事を考えるほどの余裕はオレにはなかった。
この動物について行けば水場にたどり着けるかもしれないという浅はかな希望があった。
喉の乾きの事もあって、このビーバーと思わしき生き物に望みを賭けたくなった。
なけなしの体力を奮って膝に喝を入れて、その動物の後ろ姿を追う。
その気合が途切れないよう、オレはキャップ帽を強く握り締めた。
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