2-1話
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そぉ…くそぉっ!!」
なんでこんな事に…なんで自分が…自分だけが…!
疲れた…寂しい……帰りたい……自分の部屋に戻りたい…。
自分の安息の場所として、最も記憶に濃い自室を求めるが、それが叶う事はない。
この冷たくて寝心地悪い地べたが、今のオレを抱く筵だった。
荒らげた呼吸から、溜め息のように酸素を吐き出す。
自閉していたため、視界は開いていても今まで見えなかった視野が戻ってきた。
だが見る景色は見飽きた自然の権化。 あるのは動植物ばかりの光景で、新しいものはなかった。
「………あれ?」
ふと、なんとなく眺めるその光景に引っかかるものがあった。
あの樹の形…位置…そして隣り合っている岩…上を見上げれば天蓋の空いた空…。
自分はいつの間にか…見覚えのある場所に行き着いていた。
…最初に目覚めた場所である。
「…っ…あれ、は…!?」
信じられない物を見た。
自分が最初にいた場所。
寝そべっていた名残であるかのように草を押し潰した跡のすぐ傍に、ポツンと置かれたソレ。
オレは体を引き摺るように腹這いに、ソレに近寄る。
そこにあったのは……キャップ帽だった。
頭に被る物。 人が身に着く物。 オレ以外の人間の物…。
オレは動転していて、人の痕跡は身近にあったのにそこにあったのを気付いていなかったのだ。
こんなに…こんなに近く、あったのだ。
人が……人がここにいたんだ。
ただの帽子なのに……それが希望の塊のように思えたのだ。
落ちている帽子を手に取り、それを胸に押し付けた。
疲労で気怠い体にわずかに力が出て、心が軽くなったような気がした。
「……そういえば、これは……」
抱きしめてクシャクシャに潰れたその帽子を見て、記憶に掠めるものがあった。
その帽子の色には見覚えがある。 これと同じようなものを、昨日見たはずなのだ。
思い出すのは、キャップ帽に隠れた蒼い髪と…鍔の下で海のように蒼い透き通った眼を持った女性。
彼女が…不思議な女性が、オレと同じ不思議な世界にいる。
謎だけが増えても何一つ情報を処理できないのに、あの女性がいる事にどんな意味があるのか、理由を探す自分がいた。
はたして、帰結するのはやはり疑問の言葉だけだった。
「なんで…」
帽子一つにモヤモヤしていると…カサリ、と葉鳴りの音が耳に入ってきた。
咄嗟に視線をそっちに向けると草むらが揺れているのが見えた。
何事か、と思ってそれを見守っていたらのっそりと、毛むくじゃらの頭が顔を出した。
「なっ……」
で、でけぇ…。
それは見たこ
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