第五十三話 十一人目の影その二
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「栄養いいわよ」
「お野菜もたっぷり食べて」
「お肉とか卵だけじゃね」
栄養のバランスが悪いというのだ。
「だから作ったのよ」
「そうだよね。後は」
「野菜シュースもあるわよ」
見ればテーブルの上にはガラスのコップに入れられた人参の色そのままのジュースもあった、誰がどう見ても野菜ジュースだ。
「それも飲んでね」
「うん、じゃあね」
「本当に栄養のバランスが大事なのよね」
「村山さんずっとそのことは言ってるよね」
「ううん、お母さんがいなくなって私がお料理する様になったからね」
家庭の事情もあった。樹里は家では娘だけでなく母親でもあるのだ。
「だからなのよ」
「お母さんがいないから」
「そうよ。誰かがお料理作らないといけないじゃない」
「外とかで食べると栄養が偏るからね」
「お店のものってどうしても味付けが濃くなるから」
それでだというのだ。
「塩分が多いとね」
「塩分だよね」
「成人病の元だから。その野菜ジュースだってね」
「手作り?」
「人参とかセロリとか林檎をミキサーに入れて作ったの」
そうしたというのだ。
「かなり身体にいいわよ」
「手作りだね」
「野菜ジュースはお店で買ってもいいけれど」
百パーセントのものはというのだ。
「それでもこうしたの」
「栄養だね」
「そうよ、栄養を考えてなの」
野菜ジュースも自分で作っているというのだ。
「手間はかかるけれどね」
「そうそう毎日出来るの?」
「作り置きは多いわね」
このことは樹里自身否定しない。
「あと今回も実はそうだけれど」
「そうだけれどって?」
「簡単に作られるものが多いわね」
「ポトフやオムレツもなんだ」
「実はどっちもそんなに手間がかからないの」
そして栄養のバランスがいいというのだ。
「特にポトフはね」
「切ったお肉やお野菜を煮て」
「それで作るものだからね」
あまり手間はかからないというのだ、実際は。
「煮ている間は他のこともするし」
「勉強とか」
「私も部活して。勉強もあるから」
「手間はかけられないよね」
「出来るだけ手間がかからずに栄養のバランスがよく」
まさに主婦の言葉だった。樹里にしてもこのことはよくわかっていてそのうえで上城に話すのである
「その二つよ」
「そこにだよね」
「あっ、そうね」
樹里も言われて思い出した、その思い出したこととは。
「安く」
「そう、それもだよね」
「安いものでないとね」
樹里もこのことはにこりと笑って言う。
「駄目だから」
「何か本当に主婦だよね」
「そうね。まあお父さんも再婚しないで」
「おじさんしないのかな」
「付き合ってる人はいるみたいだけれど」
だがそれでもだというのだ。
「お母さん
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