第五十三話 十一人目の影その一
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久遠の神話
第五十三話 十一人目の影
上城は樹里の家でオムレツを食べていた。樹里も彼の向かい側の席に座りそのうえで自分が焼いたオムレツを食べていた。
そのうえでこう目の前の樹里に言った。
「美味しいよ」
「あっ、上手くいったのね」
「いいよ。オムレツの上にはやっぱり」
「オムレツっていったらね」
「そうだね、ケチャップだね」
「ケチャップはかけた後でね」
そしてだった。
「バターは作る時にね」
「使うんだね」
「そうよ。それでもね」
「それでも?」
「何か凄い大きさだね」
上城は自分が食べているそのオムレツを見た。見ればそれはステーキにして一キロはあろうかという代物だった。
そのオムレツを見て樹里に言うのである。
「これはまた」
「ううん、実はね」
「実は?」
「上城君が食べると思って」
「それでなんだ」
「そうなの。それでその大きさにしたけれど」
それでだというjのだ。
「卵一杯使ってね」
「そうだったんだ」
「大き過ぎたかしら」
「いや、食べられるけれど」
だがそれでもだと言う上城だった。
「こんな大きなオムレツははじめて見たよ」
「中田さんのオムレツも大きかったわよね」
「あれはステーキにして五百位だったけれど」
「これは一キロはあるわよね」
「あるね」
自分達でもこう話す。それを乗せている皿もかなり大きい。
「普通jにね。けれどね」
「美味しいのね」
「うん、美味しいよ」
そのオムレツを切って口の中に入れての言葉だ。オムレツの黄色とケチャップの赤が色の面でも魅せている。
「とてもね」
「有り難う。ただね」
「ただって?」
今度は樹里からだった。上城もそれに応える。
「どうかしたの?」
「うん、オムレツの他にポトフも作ったけれど」
「あっ、そういえば」
見ればキッチンには何かをくつjくつと煮ている鍋もあった。上城はその鍋にも気付いて樹里に対して言った。
「あるね」
「ポトフは少し待ってね」
「まだできないんだ」
「もう少しだけ煮ないと」
「凝るね、ポトフに煮る時間に」
これは前からだった。樹里はシチュー等はかなり煮るタイプなのだ。
「確か五時間だよね」
「あと三分で五時間だから」
樹里はポトフはまずそれだけ煮るのだ。
「待っててね」
「うん、じゃあね」
「オムレツだけだと栄養のバランスが悪いから」
「それでポトフもだよね」
「お野菜たっぷり入れたから」
このことをにこりとして上城に話す。
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