第三十五話 負けたら死ぬ、勝ったら……
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ードリヒ四世があそこで死んだのも痛かった。もう少し引き摺り込めれば……、一つ躓くと全てが上手く行かなくなるな。考えても仕方ないか……。
『捕虜交換では連中の動きを止める事は出来なかったようだな』
皮肉か? 役に立たないとでも思っているのだろう。全く俺の周囲は碌でもない奴ばかり揃っている。
「内乱終結までの時間稼ぎと思われたのかもしれません。内乱が終結すれば反故にすると思ったのでしょう」
『どうする、メルカッツだけで対処出来るのか? 貴族連合と挟撃されれば厄介な事になるが』
どうするって、嫌味言う前に少しは考えてくれ。俺はずっと考えて来たぞ。一応有効かなと思える案も有る。
「どの程度の兵力を動員するのでしょう?」
『ふむ、昨年の帝国領出兵でかなり痛い目に有っているからな、二個艦隊か三個艦隊、そんな事を考えているようだ。辺境星域の解放ではなく帝国軍に打撃を与え内乱を長引かせるのが目的らしい』
エーレンベルクが顔を顰めた。
なるほどな、前回のような泥沼には嵌りたくないか。二個艦隊か三個艦隊となると前回の戦いで国内待機に回った艦隊が主体だろう。帝国軍を疲弊させ同盟軍の回復を図ると言う事か……。
「用意して頂きたいものが有るのですが」
『何かな』
俺がそれを言うとエーレンベルクが妙な顔をした。彼だけじゃない、総司令部の人間は皆妙な顔をしている。
「量が要りますから人海戦術で集めて頂く必要が有ります」
『それは構わんが、……役に立つかな?』
「相手を混乱させる事が出来ると思うのですが……」
エーレンベルクが唸り声を上げた。
「用意して頂けますか?」
『分かった、用意しよう。メルカッツに送れば良いのだな?』
「はい、出来るだけ早くお願いします」
『分かっておる』
不機嫌そうにエーレンベルクが答えて話しは終わった。
格下の俺に急かされたからってそんな不機嫌になる事は無いだろう。まあ感情をそこまで露わにするって事はこっちを警戒してはいないって事だな。悪く無い兆候だ、侮っている相手に警戒心を抱く事は無い。傲慢と馬鹿は同義語だって分かっていないようだな、エーレンベルク。そろそろこっちも準備にかかるか……。
自室に戻るとフェルナーを呼んだ。
「お呼びですか、元帥閣下」
「二人だけだ、そんな畏まらなくて良い。昔通りで行こう」
フェルナーが苦笑を浮かべた。そして“不用心だな”と言った。
「良いのか、俺は裏切り者だぞ。自室で二人きりなど危険だろう」
「そうだな、裏切り者だが馬鹿じゃない。この場で私を殺す事は無いだろう」
俺の答えにフェルナーの苦笑が更に大きくなった。
「それで、何の用だ」
「ブラウンシュバイク公が信頼する側近は誰かな、卿から見て能力的にも信頼できる人間だが……」
「シュ
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