第三十五話 負けたら死ぬ、勝ったら……
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”
“だといいけどね”
ラインハルト様は決して皇帝の寵姫の弟であることを利用したことなどない。アンネローゼ様に迷惑をかけるようなことなどしてこなかった。何よりもそれを願ってきた、それなのに……。あのまま辺境に居た方が良かったかもしれない。辺境で貴族連合の領地を制圧し、メルカッツ提督に協力する。
慣れない幕僚勤務で神経を擦り減らすよりもずっと良かったはずだ。司令長官はこれまでラインハルト様を辺境に打ち捨てておいたのに突然総司令部に招き入れた。本当にラインハルト様のためなのだろうか。本当はもっと別な意図が有るのではないだろうか……。
帝国暦 488年 5月 10日 帝国軍総旗艦 ブリュンヒルト
エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
ここまでは順調かな、あの馬鹿八人衆が攻めてこない事を除けば討伐軍は順調に制圧を進めている。連中が出てくるのももうそろそろだと思うんだけど計算が狂ったかな、まさかとは思うがあの連中殺されていないよな。……考え過ぎだよな、クライストとヴァルテンベルクだって殺されなかった。
いや、でもオフレッサーが死んでいるからな。ブラウンシュバイク公が激高してあの八人を衝動的に殺したという可能性は有る。もしそうだとするとちょっと話が違ってくるな。シャンタウ星域を制圧しても攻めてこないようなら一度挑発してみたほうがいいかもしれない。特にオフレッサーが裏切っていないという事を強調する事だ。連中の罪悪感を抉る事で激発させる。しまったな、オフレッサーが死んだ時点でやっておけば良かったか……。
ラインハルトが仕事をしている、結構結構。だが周囲とは打ち解けていない、何処か浮いている。こいつはキルヒアイスも同様だ、キルヒアイスも何処か浮いている。良くないな、この二人、どうにも異分子なんだ。周囲から浮いていると言うより周囲に溶け込もうとしない。
例の一件で馬鹿をやったからな、周りが避けているというのも有る。俺が罵られている時は何も言わないでアンネローゼが罵られて反応するとか完全に私情で動いた、感情を制御出来ないと周囲から思われたのだろう。安心して付き合えない、そうも思われたはずだ。
ラインハルトはあの一件の二十四時間待機後に俺の所に謝罪に来た。“申し訳有りませんでした、興奮して愚かな事を口走りました。軍人として有るまじきことでした”なんて言ってた。まあ見栄えが良いからきちんと謝ればそれなりには格好が着く。でもね、誠意とかは感じないんだよな、何処か白々しいんだ。
こういうのって分かるんだ、理屈じゃなくて感覚でな。どうせ心の奥底では俺がアンネローゼを不当に扱っているとか思っているんだろ、そういう負の感情をこっちも感じるのさ。以後は気を付けろ、ロイエンタールとミッターマイヤーに謝罪を入れておけ、そう言
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