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銀河英雄伝説〜悪夢編
第三十五話 負けたら死ぬ、勝ったら……
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るのか。アンネローゼ様の安全のために返上させたそうだが宮中から離れただけで十分だったはずだ。

先日のレンテンベルク要塞の攻略の時もそうだ。オフレッサーは司令長官だけではなくアンネローゼ様も侮辱した。だが司令長官は心底可笑しそうに笑っていた。何故笑っていられるのか……。司令長官はアンネローゼ様を愛してはいない。本当に愛しているのならあの侮辱を笑う事など出来ないはずだ。

ラインハルト様は確かに過ちを犯した。ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督の前で言うべきではない事を言ったのは事実だ。でも司令長官があの時笑わなければあんな事にはならなかったはずだ。オフレッサーに怒りを表してくれれば……。

軍人としては挑発に乗るなど愚かという事は分かっている。でも人としては如何だろう? 正しいのだろうか? 司令長官にとってはアンネローゼ様などどうでもいい存在なのだろう、所詮は押付けられた厄介者、そう思っているのだ。だからあんなにも冷静でいられる……。

そして総司令部の要員は皆がそんな司令長官を称賛しラインハルト様を未熟者と嗤うのだ。
“あれは無いよな”
“ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督は面白くなさそうだった”
“そりゃそうだろう、碌に実績の無い少将にお前らじゃだめだ、俺がやるって言われたようなもんだからな。聞いてて目が点になったぜ、どっからそんな言葉が出るんだって”

“司令長官にしてみれば満座で恥をかかされた様な物だろう、総司令部に入れた義弟にそんな事を言われては……。なんでこいつが総司令部に居るんだって皆が思ったはずだ。情実人事だと思われても仕方ないよな”
“司令長官、かなり怒ってたな、ヒヤリとしたよ”
“俺だってヒヤリとしたよ”

“期待を裏切るなって言われてたけどミューゼル少将は応える事が出来るかな?”
“どうかなあ、ああも感情が制御出来ないんじゃ難しいんじゃないの”
“でもなあ、少将なんだぜ。それじゃ困るよ”
“皇帝の寵姫の弟だからな、出世も早いのさ。武勲なんて何処で上げたんだよ”
“皆腫れ物にでも触るように接してたんだろう、出世させて遠ざけて。だからああなのさ”

“それに比べると司令長官は凄かったよな”
“ああ、オフレッサーを笑い飛ばしたんだからな、吃驚したよ”
“おまけに最後は裏切り者として処断されている。きっちりケリはつけた、そんな感じだ”

“オフレッサーを捕えた後、司令長官はかなりロイエンタール、ミッターマイヤー両提督を労っていたよな、あれは謝罪も入っていたんじゃないのかな”
“そうだなあ、確かにそんな感じがするよ”
“少しはわきまえてもらわないと。もう皇帝の寵姫の弟じゃないんだから。司令長官に迷惑をかけるなんて論外だよ”
“わきまえるだろう、司令長官がガツンと言ったんだから
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